ロケ地でブロンソンは、意外な一面を見せたという。ハリウッド俳優は危険を避けるため吹き替えが基本だったからか、馬に乗れず、拳銃の使い方もお世辞にも上手とは言えなかった。「私の方がよほど上手」(大林監督)だったという。
さらに、CMラストの「う~ん、マンダム」と呟きながら髭を触る演出にも、意外な裏話があった。
「演出プランにあったわけじゃないんです。撮影スタジオの控え室で、生やしはじめた髭を気にして手で撫でていた彼の仕草を見て閃いた。『僕は演技者です。これは演技じゃないけど』と戸惑っていましたけどね(笑い)。普段の仕草が、彼の人柄で愛されたのですね」(大林監督)
一世を風靡した映像は、こうして才気溢れる気鋭のクリエーターとハリウッドスターの出会いによって誕生した。
※週刊ポスト2018年9月14日号