ライフ

34万円のサマーキャンプの効果 子供は別人のように変化

火をおこそうと必死にきりもみを続ける子供たち(撮影/崎山隆一郎)

 毎年夏休みに、総勢21名の子供たちが30泊31日のキャンプを行う「夏のガキ大将の森キャンプ」。野営、自炊がメインで34万円という費用にもかかわらず、例年キャンセル待ち続出で、4人きょうだい全員を順番に参加させるケースも。1日1万円以上払ってでも、子供のキャンプ参加を親たちに踏み切らせるものは何か。21名のガキ大将予備軍を追った。

 栃木県芳賀郡茂木町にある本田技研工業が所有する「ツインリンクもてぎ」の一画に、森の自然体験プログラム各種を主宰する「ハローウッズ」がある。7月26日、ここに小学4年生から中学1年生の男女計21名が大きなリュックを背負って集結。30泊31日の「夏のガキ大将の森キャンプ」の参加者だ。

◆子供から“危険”を奪ってはいけない

 夏の森キャンプは現在、21名を定員として、7人ずつ3チームを編成。それぞれに年齢と経験で班長と副班長を決め、1か月のキャンプ生活を協力して行う。また、各チームに1人ずつハローウッズのサポートスタッフが付く。

 今年は「矛盾」「アドベンチャーガエル」「NO.1」の3チーム。初日に子供たち全員にシース(鞘)式ステンレス・ナイフがプレゼントされ、これで宿題をする鉛筆を削ったり(キャンプ中に、宿題をすべて終わらせる約束になっている)、あじを三枚におろしたり。

 食事の支度も子供たちで行う。森から小枝を集めての飯盒炊爨(すいさん)や、キャンプ後半には、徒歩でしか入れない深い森での“サバイバルキャンプ(3泊4日)”に向けて、きりもみ式による火おこし体験もある。キャンプ本番では、火がおこせなかったチームはご飯抜きというシビアさだ。

「『このままではご飯が本当に食べられない』という危機感、これが大事なんです。そこから本気で頑張るようになって、最後は執念。これまでかつて、最終的に火がおこせなかった例はありません。人間、死にもの狂いになれば何だってできる。それを実感してもらうための“サバイバル”なんです」(ハローウッズ森のプロデューサー・崎野隆一郎さん)

 火や刃物を子供に扱わせることは危険が伴う。しかし、危険だからと遠ざけることは、必ずしも子供のためにならないと崎野さんは言う。

「崖の上のウッドデッキに手すりがないのも同じ発想です。安全上の問題を問う声もありますが、子供たちはちゃんと『ここから落ちたら危ない』と認識し、縁から落ちないよう注意することを覚えます」

◆帰りたいけど、34万円を無駄にできない

「今年は、暴れる子もいないし、デキる子が多い。ちょっとつまらないなあ」

 炎天下、ホンダならではのバイク講習とオフロード走行プログラムに夢中で取り組む子供たちに「大丈夫か?」「水飲めよ」と声をかけながら笑う崎野さん。

関連キーワード

関連記事

トピックス

神田正輝の卒業までに中丸の復帰は間に合うのか(右・Instagramより)
《神田正輝の番組卒業から1年》中丸雄一、『旅サラダ』降板発表前に見せた“不義理”に現場スタッフがおぼえた違和感
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン
主人公・のぶ(今井美桜)の幼馴染・小川うさ子役を演じた志田彩良(写真提供/NHK)
【『あんぱん』秘話インタビュー】のぶの親友うさ子を演じた志田彩良が明かすヒロインオーディション「落ちた悔しさから泣いたのは初めて」
週刊ポスト
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《いまだ続く広陵野球部の暴力問題》加害生徒が被害生徒の保護者を名誉毀損で訴えた背景 同校は「対岸の火事」のような反応
週刊ポスト
どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン