また、コチラもコチラである。男版のブスつまりブ男なので女性に不慣れ。とどのつまり相槌に工夫がない。イケメンなら上手く受け流し、他の席に移動しているだろう。
自分のブスな経験談について無我夢中で書いてみたが、実はコレ、最近ハマっている『おぎやはぎの「ブス」テレビ』(AbemaTV)なる番組の影響で。信じられないかもしれないが、AbemaTVの月9(月曜9時)はずーっとこんなテンション。『アメトーーク』ならぬ「ブストーーク」を繰り広げられている。
司会はおぎやはぎ、ひな壇に座るのは有名女芸人、若手女芸人、女優、一般素人。こう書けば、この女性陣に共通点がなさそう、しかし一見すれば誰でも分かる。全員ブス、『アウトレイジ』のキャッチコピー「全員悪人」を引用したくなるほどにブスが勢ぞろい。女性泥棒軍団が活躍する新感覚の映画『オーシャンズ8』よろしく、日本のテレビ史上初のブスが主役を務めるブルーオーシャンな番組、それが「ブステレビ」なのだ。
「ブスの、ブスによる、ブスのための番組」がコンセプト。番組説明欄には、世間にあふれているのは美人やリア充向けの情報ばかり……、でもちょっと待ってほしい!世の中「ブス」の方が多数派でしょ!「ブス」のいうことに耳を傾けやしない世の中に「ブス」のホンネをお届けします!と記載。1時間番組内ではゲシュタルト崩壊してしまうほど「ブス」というワードが連呼される。
こうやって書き出してみれば、ただのバラエティ番組だが「ブステレビ」は意外と芯食っている、つまり核心をついている。抉り出されるのは社会で横行する顔面格差問題。毎度、女性陣はブスがゆえに起こったエピソードを語る。僕はそれを聞くたびに身近な差別について思う。近さの所以は、自分自身が差別をしていると自覚しているからだ。
過去、自分がブスを軽んじてしまったシーンを喚起し、鬱。またその逆もあり、ブサイクな自分ゆえに辛酸を舐めたことも思い出し、ナーバスに。
ネガティブキャンペーンのようなことを書いてしまったが、「ブステレビ」はそれだけじゃない。出演するブスは総じて皆タフ。悲しい経験談も明るく、面白く、朗らかに語る。それが大変清々しく、視聴者の罪を救う。ブス様様、ブスが女神に見えてくる番組なんだ、マジで。
SM好きの女優ブス、処女の個性派ブス、性欲旺盛なブスといったブスのオールスター軍団が出演する『ブステレビ』ではあるが、そのなかでも突き抜けているブスが宇佐麻衣だ。普段はOLとして働く一般人。しかし、番組で行われた企画「ブス総選挙」で並み居る強豪を押させて1位を獲得。番組内ではブス女王・宇佐と称される。見た目のブス度はたいしたことないが、心のブス度は追随を許さない。
ブス界のレジェンド、大久保佳代子が話していても「宇佐はね!宇佐はね!」と話に割って入る。あるブスが過去アイドルオーディションに参加したことがあると経験談を語れば「本当に自重すべき!」と何度も貶す。おぎやはぎは「芸能界にはいって色々な話を聞いたけど、お前の話が一番気分悪くなる」と宇佐についてコメントを残した。
しかし、自らの主張を曲げることはない宇佐はある種の格好良さを持つ。番組内で忘年会を行った際、ブスの人間性を調査するために「会費は3000円~0円まで」と会費を自由性にした。それぞれに封筒が渡され、ブス陣は好きな額をいれていく。
忘年会のVTRを受けて、封筒には仕掛けあり、誰が幾ら払ったかを分かるシステムになっていたとスタジオ。当然、払った値段を公表していく流れとなる。小銭にだけという人もいたが、大方のブスは1000円以上払っていた。まぁコレが社会人として普通の感覚だろう。