社会のいたるところに、あらかじめ定められた「数字」がある。普段は“前提”として気にもとめないが、その数字を少し変えてみると──実は国のあり方を大きく変える“パワー”が生まれるかもしれない。例えば、「47都道府県」を見直すとどうなるか。
都道府県の数が現在の47となったのは、1888年だった。それから130年、東京府が東京都となるなど名称の変更はあれど、47という数字は変わっていない。
実は、それを変えようとする動きが20世紀初頭にあった。1903年、19県を廃止し、総数を28とする「府県廃置法律案」が閣議決定された。翌年4月の施行を予定していたが、日露戦争の勃発によって議会が解散し頓挫した。
地方自治制度に詳しい北海道大学の宮脇淳教授は、幻となった“28都道府県案”を「自治体の財源や権限を強める意味でも、改めて議論していい」と語る。
“統合再編”で消える県はどこになるか。当時の案は実に具体的だ。栃木・群馬・茨城の北部は、“宇都宮県”として統合。埼玉と山梨は東京に吸収される。その一方で、千葉は独立県として残る。
今でも“名古屋の植民地”と揶揄される岐阜や静岡は愛知と一緒になり“名古屋県”に統合される。