これらの研究結果を見ると、O型の発症リスクが低くなっている。その理由について、東京医科歯科大学医学部付属病院救急センター特任助教の高山渉医師が解説する。
「O型の血液は、他の血液型に比べて固まりにくいと考えられているのです。血液には、止血に関連する『凝固因子』という物質があります。O型は、凝固因子のうちのひとつが他の血液型より30%ほど少ないことが証明されています。血液が固まりにくいため血栓ができにくく、心疾患や脳卒中が起こりづらくなっていると考えられます」
ただし、血液が固まりにくいことは、他方でリスクを生む。高山医師らの研究グループは、重症の大ケガで救急搬送されたO型患者は、それ以外の血液型の患者に比べ、死亡率が2倍以上高いという研究結果を報告している。
同研究は、2013~2016年度に入院が必要となった重症のケガで東京医科歯科大学など2病院に救急搬送された901名の患者データを分析。救急処置もむなしく命を落とした患者の死亡率は、O型が28%だったのに対し、O型以外は11%だったのだ。
「怪我で血管が破れると血液中の血小板が集まって傷をふさぎますが、O型の人は、血小板をくっつけるはたらきを助ける凝固因子が少ない。それが原因で止血しにくくなり、他の血液型より高い死亡率となった可能性があります」(同前)
※週刊ポスト2018年9月21・28日号