しかし、2年後の2007年に切除した右乳房の近くに再びがんが見つかる。その頃、樹木さんが出合ったのが、「四次元ピンポイント照射療法」という世界最先端の放射線治療だった。

「がんに放射線を立体的に当てる『三次元照射』に、“時間軸”を加えたのが『四次元ピンポイント照射療法』です。体は呼吸などで常に動いており、完全に静止できない。この『四次元~』なら、がん細胞だけを狙い撃ちにするため正常な細胞を傷つけることが少なく、体への負担が軽いといわれています」(医療法人社団進興会理事長の森山紀之医師)

 全国で唯一その治療を行っている鹿児島空港から車で40分ほどのところにある『UMSオンコロジークリニック』(以下、UMS)に、樹木さんは通い始めた。

 放射線照射は1日10分程度だが、1か月間継続しなければならないため、滞在費用の負担も大きい。治療費も『UMS』のホームページによれば通常1回150万~250万円ほどの自由診療となる。年間300万円を超すと低額で受けられるようになり、500万円を超えるとそれ以降は無料になると説明されている。

◆周りを笑わせるユーモアもあった

『UMS』と出合った樹木さんは一時、「乳がんが消えた」と公表できる状態にまで回復。しかし、2012年頃に副腎や脊髄への転移が発覚した。2013年3月に行われた日本アカデミー賞授賞式での「私は全身がんですから。来年の仕事は約束できないんですよ」という発言は世間を驚かせた。

「当初、照れ隠しのジョークのように受け取られましたが、“がんと生きる”ことの宣言だったのでしょう。樹木さんはがんが大きくなったら、そのつど『UMS』に通って治療を繰り返していました。抗がん剤治療は苦しく、通常の日常生活を営むのは困難ですが、樹木さんは“私の治療法だと、生活の質は全く落ちなかった”と話していました」(樹木さんの知人)

 その言葉通り、樹木さんはがん闘病をしながら、数々の映画に出演し続けた。時に「死ぬ死ぬ詐欺」と自嘲する姿は“闘病”のイメージとは程遠かった。もちろん治療法が彼女に合っていたことも要因の1つだろうが、そうした樹木さんの姿勢もまた、彼女が長く生きられた理由の1つだという。

『医者に宣告されたら知っておきたい がん克服の7カ条』(徳間書店刊)の著者で、精神科医の西脇俊二さんが説明する。

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