〈わ、東大を脅迫ですか。答申の疑念には答えず、東大の英語教育に難癖。(中略)もうちょい勉強して欲しいなあ、元慶應塾長さん〉
これには東大アカデミズムの内外から1500を超える「いいね」が集中した。さらに阿部氏は続く投稿で、
〈もし、安西さんの言うように東大が「国家のための大学」なら(すごいなあ~!)、誤った政策に対して「最後の防波堤」とならないとね〉と民間認定試験の“導入反対”を皮肉たっぷりに表明したのだ。阿部氏に真意を聞いた。
「現在、提案されているやり方だと、英語の試験を複数の民間業者に丸投げするようなかたちにもなりかねないが、それぞれビジネスや教養など目的も違い、設問の仕方も違う。それなのに無理にセンター試験のように共通の基準に換算しようとしている。それでは受験生のスコアを正確に比較することは簡単ではありません。走り幅跳びと棒高跳びを比べるようなものです」
民間試験導入の問題点をそう指摘した阿部氏は、疑念はそれだけに止まらないとして、こうも続けた。
「センター試験は内容的にも運用面でも評価の高いものでした。ところがこれを解体することで、受験生は新しい試験への対策に迫られるかたちとなり、塾業界は今、その不安を煽ることで活況を呈している。教育の理念より、ビジネスの論理が先行する話のように思えてなりません」
東大側からの指摘にどう答えるのか。安西氏に取材を申し込んだが、「今回の件では取材をお受けしません」との回答だった。
※週刊ポスト2018年10月5日号