「その後の調査で、循環器病研究センターでは非常用発電機の点検を過去5年間行なっていなかったことが判明しました。この事態を受けて、厚労省は全国の病院に非常用発電機の動作点検を至急実施するよう通達を出しました」
2013年に公益法人日本臨床工学技士会が作成した『医療機器の停電対応マニュアル』によれば、緊急時に非常用発電機に何らかの負荷がかかった際、
〈オイル漏れ、冷却水漏れ、燃料漏れなどを起こす恐れもある〉
と警鐘を鳴らしており、災害を想定して非常用発電機に電圧の負荷をかけた上で試運転する「負荷運転」の点検の重要性を説いている。消防庁も1000平方メートル以上で不特定多数の人が出入りする施設に対して、年に一度、非常用発電機の負荷運転の実施を義務づけてきた。
そこで本誌・週刊ポストは消防庁に情報公開請求し、都内の主な大病院30施設(病床数上位30施設)の非常用発電機の点検表を入手。結果、30施設中、実に24施設で過去1年間に負荷運転点検を実施していないことが明らかになった。一部施設は負荷運転点検の不実施を認めた上でこう説明した。
〈入院棟の建設及び高圧配電設備の大型改修等で、発電機の高圧配電系統も工事していたことから、事故防止の観点より当面の間実施を見送っていた。
このたび平成30年6月に上記の工事が完成し、平成31年1月に擬似負荷運転(負荷運転機を連結し、実際の負荷に近い模擬的負荷をかけること)の実施を予定している〉(東京大学医学部附属病院)