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京都洛中の中華意識、東京のメディアがそのうぬぼれを肥大化

今でも東京出張を「東下り」と言う京都人もいる(時事通信フォト)

「アンチ東京」では通じ合える京都と大阪だが、実はお互いに反目し合っているという。一筋縄ではいかない関西人の「東京ぎらい」を、国際日本文化研究センター教授の井上章一氏が独自の視点から読み解く。

 * * *
 新幹線が開通したのは一九六四年である。そして、その設営以後、京都へ観光でおとずれる人の数は、飛躍的に増加した。首都の雑誌も、その趨勢におされ、京都の見所を、つぎからつぎへと書きつらねる。美辞麗句の数かずで、京都をほめあげた。

 もちろん、京都は江戸時代から観光地になっている。しかし、二〇世紀後半以後のメディア状況は、その勢いをいっそうあおりたてた。右肩上りと言っていいその傾向は、今もつづいている。

 京都洛中の中華意識は、そんな趨勢によっても増幅されてきた。東京のメディアが、よってたかってもちあげる。そのあつかいも、彼らのうぬぼれを肥大化させた。

 今でも、都は京都だと言う人がいる。そんな話も、京都のユニークぶりをつたえる話題として、首都のメディアはおもしろがる。京都人の増長ぶりには、東京がおだてた部分もあると、私はにらんでいる。

 いっぽう、ビジネスの街であり続けた大阪に、こういう力学ははたらかない。首都の雑誌をはじめとするメディアは、さほど大阪をもちあげようとしなかった。まあ、ビジネスマンむきに、風俗営業の出色ぶりをつたえはしていたが。大阪にはこんな店がある、あんなことまでやらせてくれる店さえある、などなどと。

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