日本には多くの名建築があるが、多くの建築家に影響を与えた巨匠・菊竹清訓の記念碑的代表作が鳥取県米子市の東光園だ。これまで500軒超の名建築宿に泊まった紀行作家の稲葉なおと氏が案内する。
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「菊竹スクール」という言葉があるように、後に世界で活躍する建築家を多数育てたことでも知られる菊竹が、建築界で最も注目された60年代の代表作のひとつ。生涯で一番衝撃を受けた建築としてこの宿の名を挙げる建築家もいるほど、建築界に与えた影響は大きい。
工事が進む中でも新たなデザインを意欲的に盛り込む菊竹流現場主義が、曲線を描く屋根などに見られる。庭園設計は、菊竹を宿主に紹介した彫刻家・流政之。国登録有形文化財。
『東光園』
・住所:鳥取県米子市皆生温泉3-17-7
・チェックイン15時/チェックアウト10時
・料金:1泊2食付き和室ひとり1万5000円~(税・サ込、入湯税別)
◆撮影・文/稲葉なおと
【プロフィール】いなば・なおと/紀行作家・写真家。1959年生まれ。東京工業大学建築学科卒。長編旅行記『遠い宮殿』でJTB紀行文学大賞奨励賞受賞。『0マイル』『まだ見ぬホテルへ』『匠たちの名旅館』『モデルルームをじっくり見る人ほど「欠陥マンション」をつかみやすい』など著書多数。11月5日に学士会館(東京・千代田区)にて講演「『建築家の宿』の知られざる物語」開催。
※週刊ポスト2018年10月5日号