3つ目の理由は、過去の名番組に頼りたい苦しさ。リサイクルされているのは特番に限らず、ここ数年はかつての番組を再レギュラー化する動きが目立ちます。

 顕著なのは日曜夜のゴールデンタイム。これまで、『ジャンクSPORTS』(フジテレビ系)、『ビートたけしのスポーツ大将』(テレビ朝日系)、『クイズ☆スター名鑑』(TBS系)がリサイクルされ、今秋も『ナニコレ珍百景』(テレビ朝日系)が復活します。

 日曜夜のゴールデンタイムは、『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』が高視聴率を獲得し続ける日本テレビの独壇場。他局は苦しい戦いを強いられる中、かつての名番組に頼っているのです。

 同様に、このところリサイクル特番が目立つのも、「予算やキャスティングの事情でオリジナル特番を作れない」という理由だけではありません。もともと改編期は視聴率を獲得するチャンスの時期でしたが、それが難しくなっているという苦しさがあり、新たな企画を立てる難しさも含めて、リサイクル特番に頼りたくなるようです。

◆リサイクル特番はまだまだ増える

 ただ、多くのリサイクル特番が放送される中、「また毎週レギュラー放送してほしい!」という熱い声があがっているのは、『学校へ行こう』くらい。その他は、「特番くらいがちょうどいい」という声が多数派だけに、番組関係者は実績やイメージに傷をつけないように、安易な再レギュラー化はしないようです。

 私が民放各局のテレビマンと話していてよく聞くのは、「あの番組はそろそろ特番で復活させてもいいのでは?」「あの番組のあのコーナーは一周回って使えるのでは」などの声。つまり、各局ともに、まだまだリサイクル特番を探しているのです。

「リサイクル特番として放送するのか」、それとも「形を変えて新番組として放送するのか」は制作サイドの判断によりますが、テレビ番組には65年を超える歴史とノウハウの蓄積があるだけに、今後もこの流れは続いていくでしょう。

 ネットを含むコンテンツ競争が激化する中、テレビ番組に求められているのは温故知新の精神。私たち視聴者は、リサイクル特番を楽しみつつも、新たなオリジナル特番に期待したいところです。

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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