「便潜血検査は、いわゆる“検便”です。自分で便を採るだけの簡単かつ負担が少ない方法でがんを調べることができるため、40代以降の人は1年に1度は受けることをすすめます。がんのリスクが高まる50代になったら、並行して内視鏡検査を受けるという形が望ましい」
【胃がん検診】
乳がんや大腸がんに比べれば罹患者は少ないが、胃がんも日本人女性のうち18人に1人がかかるといわれている。少しでもそのリスクを減らすためにはどんな検診を受けたらよいのか。大竹先生は「何よりもまずピロリ菌検査を」と言う。
「胃がんの99%はピロリ菌が影響しています。だからまずピロリ菌がいるかどうかを調べたうえで、リスクが高ければ胃カメラでの検診に移行するのが理想的です」
大腸内視鏡や胃カメラの検査ががんのリスクを下げるとはいえ、「つらい」という悲鳴交じりの声が多く上がる。そこで、最近は、鎮静剤を使って半分眠ったような状態で受けられ、起き上がったときには苦しい検診がすべて終わっているという方法を提案するクリニックもある。しかし、前出の室井さんは警鐘を鳴らす。
「鎮静剤は体に負担がかかるうえ、認知症や窒息のリスクもある。その上、胃カメラで小さな腫瘍などが見つかっても、麻酔をかけられて意識がないためその場で本人の同意が得られず、摘出するのに二度手間ということにもなりかねない。なるべく通常の状態で受けることをすすめます」
【子宮頸がん検診】
乳がんや胃がん、大腸がんの検診は基本的に30代以上を対象としているが、もっと下の世代から受診すべきがん検診もある。医療ジャーナリストの増田美加さんが言う。
「子宮の入り口部分に発生する子宮頸がんは20代30代の罹患者が多い。検診は20才から2年に1度、必ず受けてほしい」
検診内容は、細胞診と呼ばれるもの。
「腟から小さなブラシを挿入し、子宮の入り口の細胞をこすり採ります。若くて出産経験がない人は緊張してしまいがちですが、通常は苦痛も負担も少ないため、ぜひ積極的に受診してください」(増田さん)
一方、子宮本体に起きる子宮体がんは、自覚症状を感じてからの検査でよいという。
「不正出血があるなどの初期症状を見逃さずすぐに受診すれば早期のうちに発見することができるため、定期的な検診は必須とされていません」(増田さん)
※女性セブン2018年10月18日号