◆問題点2/事故リスク
バリウム検査では、深刻な事故が多発している。中でも多いのが、バリウムが体内に固着して孔が開いてしまう「穿孔(せんこう)」である。
PMDA(医薬品医療機器総合機構)の副作用報告書によると、2014年だけでも大腸や消化管など、合計68例の穿孔が確認されているが、実際はもっと多いはずだ。拙著『バリウム検査は危ない』を読んだ方々から多くの相談が寄せられており、PMDAに報告されず処理されたケースもあるからだ。
大腸穿孔を起こすと緊急手術となり、数か月間は人工肛門での生活を余儀なくされる。過去には死亡したケースもあった。
また、バリウムでアナフィラキシーショックを起こした女性の死亡事故や、急角度に傾斜した検査台から滑り落ち、頭を挟まれて死亡した事故も起きた。健康な人を対象にした検診として、あまりにリスクが高い検査法なのだ。
◆問題点3/被曝量の多さ
バリウム検査の被曝量は、肺がんX線の40倍を超える。規定では、胃を様々な角度から8カット撮影することが定められている。そのため、2~3分間の撮影中は、ずっと放射線を当て続ける必要があるのだ。
世界的に評価が高い医学誌ランセットには、「日本で癌になる人の3.2%はX線検査の被曝が原因」という論文も掲載されている。