国内

教師確保競争激化、特別免許や他自治体からの引き抜き等

地方では現役教師の引き抜き合戦が(写真/アフロ)

 教師はかつて「聖職」とされ人気の職業だったが、近年は“ブラック”であることが世に知れ渡り、なり手が減っている。60才で定年を迎えても再任用で教鞭を執る仕組みはあるが、それでも需要に供給が追いつかない。

 そこで勃発したのが「現役教師の争奪戦」だ。現在、各自治体は「現職」をねらった中途採用を進めている。例えば福岡県教育委員会は昨年12月、都内で現職教員対象の選考会を開催した。

「県内の教員数が不足しており、即戦力の教師を獲得するために東京で採用試験をしました。20~50代の現職49人が受験して45人が合格。ほぼ全員が採用されたかたちです」(福岡県教育庁教育企画部教職員課)

 今年度から東京だけでなく神戸でも選考会を開くという福岡県は、通常の採用試験も拡大する。

「採用年齢を59才まで上げます。事実上の無制限です。現職の教職員は筆記試験を免除します。家庭の都合などで一度教師を辞めたかたも特別選考をして受け入れています」(同前)

 高知県も東京、大阪で現職対象の採用試験を行う。

「本県は教職員の大量退職の最中で50才以上が50%、40才未満が25%と偏った年齢構成のため、本県出身者を中心に現職教員の採用を実施しています。昨年度は11人が受験して、8人が合格しました」(高知県教育委員会事務局教職員・福利課)

 研鑽を積んだ教師を“強奪”される自治体は何を思うか。東京都教育庁人事部選考課の担当者が複雑な胸中を明かす。

「教員が一人前になるには職場内の研修などさまざまな支援が必要です。ある意味、一生懸命育てた人が抜かれてしまうのは、私どもにとっては困るという思いです…」

 京都府では教員免許を持たないが、必要なスキルのある50才未満の社会人を対象に「特別免許」を発行し、多様な人材の確保に努める。

「民間企業に勤めて実績のあるかたや英語がネイティブのかた、国際競技会に日本代表で出場されたかたなどに、教員として働ける特別免許を発行しています」(京都府教育庁管理部教職員人事課)

 教師多難の時代、各自治体の試行錯誤が続く。

※女性セブン2018年10月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン