初期のがんを患い仕事をセーブしたこともあったが、いまは克服した黒田氏 (時事通信フォト)
裏方に徹し、目立たない官僚たち。昨年、天皇皇后両陛下の右腕に昇格した彼もまた、そんな黒子のような存在かと思いきや、意外なところで内面を発露していた。知的で繊細な感覚を文章に落とし込んだ異色作品の内容とは──。
「今年1年精一杯お支えしますという趣旨のことを申し上げ、両陛下からはなごやかな雰囲気で『今年も皆さん体に気をつけて努力してもらいたい』と、言葉をかけていただきました」
年頭の会見、宮内庁の新長官である黒田武一郎氏(65才)は引き締まった表情でそう口にしていたという。その長官の約20年前の“過去”がいま、関係者の間で静かに話題になっている──。
昨年末、平成から令和への御代がわりを経験した西村泰彦前長官からバトンを引き継いだのが黒田長官。警察庁出身の西村氏に対し、黒田氏は総務省出身の大物官僚だ。
「灘高から東大に進み、総務事務次官まで務めあげた黒田さんは、霞が関でも切れ者として知られています。明治神宮の武道場に40年以上通う剣士としての顔も持ち、合計5回総務大臣を務めた(旧郵政大臣、旧自治大臣を含む)高市早苗首相からの信頼も厚い。総務省時代は高市首相から『ブイチロウさん』と下の名前で呼ばれていたそうです。実際、長官の就任会見でも自ら首相との距離の近さに触れる場面もありました。
武道に精通するだけに己にも部下にも厳格なタイプで、職員や記者とのやり取りにもそこはかとない緊張感が漂っています」(宮内庁関係者)
とはいえ、周囲とのコミュニケーションをおろそかにしているわけではない。
「職員や記者と飲みに行くこともあるようですが、そうした場でも偉ぶったりせず、周囲の話に丁寧に耳を傾けています。ただ、総務省時代に上司が機密漏洩で処分されたり、事務次官時代には部下が民間企業からの高額接待を受けていた問題が明るみになったりと、不祥事に巻き込まれた経験も多い。そのため、飲み会はもっぱら割り勘派です」(前出・宮内庁関係者)
実際、危機管理も長官の重要な仕事のひとつだ。
「前任の西村さんは愛子さまの成年会見と悠仁さまの中学校卒業式が重なってしまった際には、『私の頭に思い浮かばず調整できなかった』と説明し、『できれば別の日がよかったと個人的には思う』と矢面に立って火消しに奔走しました。
2023年に宮内庁次長となった黒田さんはナンバー2として、そうした西村さんの姿勢を間近で学んできましたし、陛下とは同級生で誕生日も3日違い。より近い距離感で令和皇室を支えていくのではないでしょうか」(皇室ジャーナリスト)
そんな黒田長官が直面する課題のひとつが、安定的な皇位継承についての議論。
「皇族数の減少については喫緊の課題となっており、避けては通れない問題です。恒久的な問題解決にはどうしても時間がかかりそうですが、長官としてはまず公務の量を適切に管理し、皇族方の健康維持を図りたいとの決意を語っています。皇族方の未来にかかわる議論への道筋をつける過程で、政治との距離を保ちつつ、両陛下をどこまで支えられるか、黒田氏の手腕が問われるところです」(前出・皇室ジャーナリスト)
