高市早苗・首相の等身大パネルと共に演説する杉田水脈氏
JR新大阪駅を抱える大阪都心部の一角、大阪5区は異色の選挙区として知られる。自公選挙区協力で自民党が候補者を立てずに長く公明党が議席を守ってきたうえ、一時は維新も公明候補を推薦。2014年総選挙では公明党と共産党の2人しか候補がいない一騎打ち。保守層の有権者から「投票する政党がない」という声が上がったこともある。最近の選挙はうってかわって多くの候補が出馬する乱戦のなか、前回は維新前職の梅村聡氏が公明元職の國重徹氏を破って議席を得た。
だが、今回は中道改革連合に合流した公明元職が比例代表に回り、そのうえ中道が候補擁立を見送ったことで構図は大きく変わった。異色な選挙区に自民党から元職の杉田水脈氏という異色な候補が落下傘で立候補したからだ。
杉田氏は急進保守派として知られ、LGBTに関する発言やアイヌ民族などへの差別的発言で多くの批判を浴びてきた人物だ。その杉田氏は選挙戦でも異色のやり方を取っている。街頭演説で「私は高市派です」と連呼し、選挙カーやポスター、ビラにも「高市派」の文字が入っている。自民党は派閥解消したはずだが、いつ高市派が結成されたのだろうか。
さらに“秘密兵器”がある。演説の途中、杉田氏が「忘れてました。秘密兵器を出します」と持ち出したのは、高市早苗・首相の等身大前身パネル。「あとで記念撮影をしてください」と杉田氏は言う。
このパネル、杉田氏によると自民党の広報本部から写真データをもらい、個人的に製作したものだという。「(パネルは)街頭でも人気です。感触がいいというのは、私ではなく高市早苗人気だと思います」と語った。
「きっついオバはん対決」
同選挙区には維新前職の梅村氏、自民の杉田氏に加えて、れいわ新選組前職の大石晃子・共同代表、国民民主党新人の前田英倫氏、参政党新人・松山恵子氏、共産党新人・湊隆介氏の6人が出馬する乱戦だが、自民党が送り込んだ“秘密兵器”である杉田氏に真っ向から噛みつき、「きっついオバはん対決」を挑んだのがれいわの大石氏だ。
「杉田さんは裏金のみならず、立場の弱い人たちの人権侵犯を2回も確認されている札付きの人物です。とんでもないですね。大石あきこvs杉田水脈という『きっついオバはん対決』と言われているとか、いないとかわかりませんが、維新も自民もウソだらけ。ウソつき政治家としてしばきまくる選挙にしたい」
第一声でそう“宣戦布告”すると、杉田氏も、「杉田水脈は国会議員になる前は、市役所のおばちゃんでした。最後の5年間は子供の福祉にたずさわっていました。子育て世代のことはよくわかっています」と負けてはいない。
とはいえ、杉田候補は遊説スケジュールを報道陣にもほとんど公開しておらず、大石候補とのニアミスはあっても、2人の直接対決はなかなか見られない。
杉田氏に「オバはん対決」について聞くと、「(大石候補は)私より10歳も若いのにね。私はおばさんというより、おばあさんの域なので(苦笑)」とかわすと、「(大石氏とは)票がかぶらないのではないか。(戦う相手は)やはり維新だと思います。維新に勝たないと勝てないですから」と維新に照準をあてているようだ。
一方の大石氏は、「杉田さんのほうがいろんな意味で知名度は高いんじゃないですか。たしかにテレビに出るようになって、写真を撮ってほしいと言われるようになってきてます。でも杉田さんに比べたらまだまだです(苦笑)」と謙遜する。
戦いの結果はもうすぐ出る。
●大阪5区 候補者一覧
梅村聡(50)維新
大石晃子(48)れいわ
前田英倫(51)国民
松山恵子(52)参政
湊隆介(42)共産
杉田水脈(58)自民
※週刊ポスト2026年2月20日号
