「今回目新しいのは事件をリアルタイムには知らない若いネットユーザーの中で登場したということ。これまで言われ尽くしたことであっても、新鮮で興味を持って読んでくれたということでしょう」
“秘密の暴露”はなかったということなのだろうか。前出の江藤氏はこんな言い方をする。
「犯人しか知りえない情報として、Sの父親の警察手帳を残していた、というのは大胆な発想ですね。一見、真に迫っているように思えますね。ただ、専門家から見るとそうじゃない。
警視庁の制服警官は当時も今も警察手帳を個人保管していません。勤務中以外は署で管理されていて、出勤時に身につけ、退勤時に置いていく。持ち帰るということはありえません。警察手帳がなくなったら翌日には大変な騒ぎになります。アイデアは面白いけど、ミステリー小説としては少し詰めが甘い」
本誌は、真相を聞くべく投稿サイトを通じて「白田」にコンタクトをとった。すると〈インタビューはお受けできかねます〉というメールが返ってきた。
“真犯人”は、また消えてしまった──。
※週刊ポスト2018年10月26日号