「この業界の営業マンたちは、投資するオーナーのことを“情弱(情報弱者)”だと思ってるから、平気で非現実的な利回りを提示したり、融資資料の改竄を勧めたりします。オーナー側も、投資の知識にもコンプライアンスにも詳しくないから、“そんなものか”と話に乗ってしまう。今後、似たような不正融資や改竄の問題が噴出する可能性は大いにある」
そして、この業界関係者は、まだ表沙汰になっていない“新たな手口”について明かした。
その大まかな構図はこうだ。まず、不動産会社の営業マンが、土地とそこに建てる予定の建物から物件価格を算出するのだが、その際に建物価格を高めに見積もっておく。例えば、土地価格が4000万円、建物価格5000万円といった具合だ。そして、その金額を元に銀行に融資を申し込む。その場合、物件価格は9000万円になるので、例えばスルガ銀行の基準では9割までの約8100万円の融資が見込めることになる(実際は手数料などで若干の変動あり)。
物件のオーナーになる予定の人物には、残り900万円もの自己資金さえないケースが多い。そこで、銀行から8100万円の融資が下りた後に、建物価格の算出元となる建設費を4200万円まで値下げする覚書を、不動産業者とオーナーの間で結ぶのだ。そうすることで、物件価格は8200万円まで下がるので、オーナーは自己資金が100万円しかなくても足りるというわけである。後から建設費を値下げすることは、不動産会社からオーナーに対して事前の提案書などで説明しており、建設会社側もグルであるケースが多い。
当然ながら、こうした手口は犯罪行為として問われる可能性が十分ある。まず、後から建設費を値下げすることを前提として融資を受けている場合、担保価値を偽っていることになるので、不動産会社とオーナー側は銀行に対して詐欺を行っていることになる。逆に銀行側がそれを把握した上で行っているとすれば不正融資に当たり、スルガ銀行の問題と同じ構図だ。