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「喧嘩するほど仲がいい」は猫に当てはまらない、流血騒ぎにも

飼い猫でも、去勢・不妊手術をしていないと縄張り意識が強いままで、よくけんかが起こるという(写真/Getty Images)

 ペットフード協会の平成29年全国犬猫飼育実態調査によると、猫を飼っている世帯の平均飼育頭数は1.75匹だった。つまり、猫を多頭飼いしている人が多いことがわかる。

 多頭飼いの場合、猫同士が仲よくしてくれればいいが、必ずしもそうとは限らない。なんらかの原因で激しいバトルに発展し、その仲裁に頭を悩ます飼い主も多いのではないだろうか。

 代官山動物病院・自由が丘動物医療センターの獣医師で、獣医行動診療科認定医の藤井仁美さんによると、猫のけんかの主な原因には、次のようなものが考えられるという。

・恐怖や脅威を感じる相手から身を守るため
・エサやお気に入りの場所(テリトリー)を守るため
・気に入らないことをされ、これ以上するなと抗議したい場合
・遊んでいる最中、興奮しすぎたため
・外猫を見たり、ストレスなどで、攻撃的になるため
・医学的な問題から、体の不調や痛みがある場合、近づいてきた相手に攻撃的になるため

 野良猫などの場合は、去勢・不妊手術をしていないケースも多く、メス猫を巡る争いや、お気に入りの場所やパトロールコースを巡る問題などで、オス同士のけんかが起こりやすい。

 一方、家猫の場合は、オス・メス関係なく、前述のような理由があれば、けんかに発展するという。では、けんかが始まったらどう対処すればいいのか。

「無理な仲裁は禁物です。まずはそのまま放置して様子を見てください。下手に手を出すと、猫は攻撃されたと誤解し、攻撃の矛先を飼い主に向ける危険性があります」(藤井さん、「」内以下同)

 一般的に、猫がけんか中に、そっと間にクッションなどを投げて仲裁するとよいとされているが、投げたクッションが猫に当たると、そのことがトラウマとなり、次からその時にけんかをした猫を見るたびに恐怖を思い出して、けんかになってしまうので控えた方がよい。

 さらに、飼い主が仲裁することで、猫同士の関係がこじれてしまい、その後も同じ空間で暮らす際、猫たちがかなりのストレスを感じてしまう。

「解決策としてはけんかが起こる理由をはっきりとさせて、けんかが起こらない状態にすることです。例えばエサの取り合いでけんかをしているのであれば、別々の部屋で与える。 同居猫に追いかけられることに恐怖を感じているようなら、キャットタワーや段ボールなど、逃げ込める場所を用意してあげるなど、けんかにならないための工夫をしましょう。けんかの理由がわからない場合は、動物病院に相談するのも手です」

 けんかするほど仲がいいとはいうが、猫同士のけんかにそれは当てはまらない。ひとたびけんかになると、流血騒ぎにまで発展してしまう。猫のけんかの場合、飼い主は手を出さずに、知恵を出して、事前に食い止めよう。

※女性セブン2018年11月1日号

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