この10月にも紙巻き、加熱式ともに一斉値上げがあったばかりで、たばこ1箱「500円時代」が現実のものとなった。JTが1箱の本数を減らして価格を下げる紙巻きの銘柄を発表したり、加熱式でもPMIがアイコスの値上げした「ヒートスティック」(500円)より30円安い新ブランド商品を発売する意向を表明したりするなど対策を講じる動きは出ているものの、ユーザーの経済的負担は限界に達している。
「1日1箱500円使っていたら生活が苦しくなる。しかも、加熱式は本体の値下げキャンペーンなどがあるとはいえ、機器の寿命や故障の度に買い替えなければならず、出費がかさむ。これ以上、たばこ増税するなら、いっそやめようかとも考えている」(加熱式ユーザー)
ちなみに、たばこ税の増税は、今後も紙巻きで2021年、加熱式で2022年まで段階的に行われる予定だ。今回の増税では値上げ前の「駆け込み需要」が業界が想定していたほどの盛り上がりを見せなかった模様で、その中には前出ユーザーのように、「やめることも覚悟で、敢えて買いだめはしない」と話す喫煙者も多かった。
そして、加熱式ユーザーにとって最も懸念すべき問題が、今後の規制の行方だろう。すでに紙巻きたばこの受動喫煙対策を巡っては、国が改正健康増進法を、東京都が受動喫煙防止条例をそれぞれ成立させ、飲食店など人が多く利用する施設は「屋内原則禁煙」が徹底されることになる。
どちらも四方を壁で仕切って換気基準をクリアした「喫煙専用室」を設ければ、そこでの喫煙は可能になるが、議論が分かれているのが、加熱式たばこの扱いだ。国は「まだ健康への影響が明確でない」として、加熱式については専用エリアを確保しさえすれば飲食しながらでも喫煙できる経過措置を設けたが、都は紙巻きも加熱式も同じレベルの規制を課したい構えだ。
ただ、現状で加熱式たばこを吸っている人の行動をみても、すでに屋内・屋外ともに紙巻きたばこの喫煙者と同じ「喫煙所」に行くのは当たり前の習慣になっており、周囲への迷惑を顧みず、所構わず吸う人は皆無に等しいだろう。「加熱式に変えても、自宅では相変わらず“ホタル族”。ベランダで吸うのが家族の約束となっている」と話す加熱式ユーザーも多い。
しかも、屋内の喫煙所では“喫煙所内格差”も起きている。