「各所の屋内喫煙所では、加熱式ユーザーが空気の入れ替えが多い入口付近の落ち着かない場所に固まっている光景をよく目にする。理由を聞くと、『紙巻きたばこの煙のニオイが嫌だから』と話す人が多い。せっかく紙巻きから加熱式に切り替えているのに、狭い喫煙所で紙巻きたばこの煙にさらされていては意味がない」(たばこメーカー社員)
このままでは紙巻きたばこのリスク低減(ハーム・リダクション)を目的に、代替品として加熱式たばこを開発したメーカーの自助努力が報われないばかりか、紙巻きから加熱式へのシフトも思うように進まない可能性がある。
そのため、PMでは、「今までオフィスや飲食店などが抱える喫煙環境の悩みの解決提案を行っており、その結果、紙巻きたばこは禁煙だが、加熱式たばこは使用可という場所が全国1万か所以上に広がっている」(PM日本法人の広報担当者)と話す。
国や都の規制強化がますます進んでいけば、喫煙所を撤去して屋内全面禁煙にしようという施設が増える恐れもある。かといって、屋外でも環境美化条例によって路上禁煙にしている自治体は数多い。
「結局、加熱式たばこもどこで吸えばいいのかという不満が広がってくると、普及はなかなか進んでいかない」(前出・PM広報担当者)
もはや、たばこは一部の人が楽しむ嗜好品となりつつある今、新たに登場した加熱式たばこがどこまで市場を形成することができるか──。普及スピードを上げるカギは、限られたパイを奪い合うメーカー間の製品争いだけでなく、第三者機関も交えたさまざまなリスク検証や情報公開をしながら、いかに“吸える環境”を整えられるかにかかっているともいえる。