「録画視聴者は基本的にCMを早送りするため、タイムシフト視聴率が高くてもスポンサーへの訴求力は低い。テレビにとっても代理店にとっても、長年出したくないものでした。今回、それでもテレビ局側がタイムシフト視聴率をCM取引指標に組み込んだのは、合算した数字を出さないともはやCM営業が立ちゆかないという焦りからです」
実際、今年に入っても各局の視聴率は下げ止まらず、昼の情報番組では各局3~5%がザラ。
「番組によっては、毎分視聴率で見ると1%台が出ることもあります。テレ東に至っては、0%台すら普通のことになっている。『0.0%が出たら、逆に凄いよね』なんて局員同士で自嘲しているくらい。こんな光景、スポンサーにはとても見せられません。
ただでさえ、2020年までにテレビとネットの広告比率が逆転すると言われており、新指標を導入しないと、今後は1%や2%といった数字だけでスポンサーと交渉しなければならない番組が増えてくる。リアルタイム視聴率だけで見た場合、テレビという媒体の広告価値は、落ちるところまで落ちているのです。新指標自体、苦境を自ら露呈しているようなものですからね」(テレビ関係者)
4月以降、テレビ局は、従来の世帯視聴率ではなく性別、年齢別の『個人視聴率』の提示も開始した。これもスポンサーへのアピールだと言われている。
「『新指標では視聴者の性別と年齢も細かく分かるので、ターゲットを絞ったCMをピンポイントで打てる』というセールストークがやりやすくなる。CMを飛ばされるリスクを差し引いてもこの数字には意味があるとテレビ局側は主張したい」(キー局関係者)
※週刊ポスト2018年11月9日号