陥凹型のがんを早期発見するために工藤医師が駆使するのが、“超拡大内視鏡”だ。
「通常の拡大内視鏡は100倍ズームまでですが、私の使う内視鏡は500倍まで拡大した状態で消化管粘膜の細胞核をとらえます。これにより腸壁にあるわずかな色調の変化まで観察するため、陥凹型がんでも見逃すことがありません。『ステージI』はもちろん、その前段階の『ステージ0』を見つけ出すことも可能です」(同前)
この内視鏡を用いた検査は熟練の専門医でも30分ほどかかるが、工藤医師はわずか5分。検査費用は3割負担で7500円だ。実際に大腸内視鏡検査を受ける患者に、工藤医師はこうアドバイスする。
「大腸内視鏡検査は最も難しい検査のひとつです。検査を受ける方は、最新の機器が備わっていて、かつ検査経験数の多い専門医がいる大腸がん専門クリニックや病院を選ぶことを勧めます」
現在、工藤医師は内視鏡検査のビッグデータとAIを組み合わせた病理診断に取り組んでいる。実用化されれば、大腸がんの発見はさらに早まるという。
※週刊ポスト2018年11月16日号