国際情報

在日、黒人、ムスリム…世界の差別問題に共通する「根っこ」

10月5日には東京都議会で人権尊重条例案が採決された(時事通信フォト)

 日本でヘイトスピーチの主な標的となっているのは、在日コリアンや韓国の人たちだろう。そうした差別はなぜなくならないのか。同様の差別は日本だけの問題ではなく、アメリカやヨーロッパなど、今も世界じゅうで根強く残っている。その背景に何があるのか。

『言ってはいけない』(新潮新書)、『朝日ぎらい』(朝日新書)などの著書がある作家・橘玲氏と、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)などの著書があるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が語り合った。(短期集中連載・第7回)

中川:在日コリアンや韓国の人たちを対象にヘイトスピーチを繰り返す人たちがいます。最近は以前ほど目立っていませんが、根強く続いているのが現状です。かつては「朝鮮人をガス室に送れ!」や「鶴橋大虐殺を実行します!」など過激な主張もありました。基本的には韓国がいかにひどい国かといったことをアピールするのですが、彼らが拠り所にするのが「テキサス親父」と呼ばれるアメリカ人男性やスペイン人のデモ参加者など、日本を褒め称え、韓国を批判する海外、特に欧米から来た“味方”の人々です。

「日本人以外も我々の思想に共感しているし、韓国を批判しているんだぞ!」とばかりに、自分たちの意見が正しいということの証明に使おうとしています。エジプト出身のタレント、フィフィなんかも親日的な発言をするため、“味方認定”していますが、欧米系の人がより重宝されているような感覚があります。

橘:それは明治維新以来の欧米=白人コンプレックスそのものですよね。その象徴が、日本在住の白人が書いた嫌韓本がベストセラーになったことでしょう。内容的にはこれまで言われ尽くされた話ですが、日本人はもちろん、インド人や黒人が書いたってあんなに売れるわけはない。日本では「保守」や「右派」を自認する人ほど、自分の正しさを白人に認めてもらいたいという皮肉な逆説があります。

 戦後の日本人のアイデンティティは、アジアにおいて自分たちだけが経済大国だというプライドだったのですが、1990年代以降それが崩壊してきた。中国が世界の最貧国だった頃は、「日本の援助でもう少し幸せになれるようにしてあげましょう」と右も左も言っていたのに、経済規模であっという間に抜かれ「自分たちこそ経済大国」と中国が言い始めると許せなくなるんですね。

関連記事

トピックス

映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
専修大サッカー部を辞任していた源平監督(アフロスポーツ)
《「障害者かと思った」と暴言か》専修大サッカー部監督がパワハラ・経理不正疑惑で辞任していた 大学は「警察に相談している」と回答
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン