また、前述したように、ダウンジャケットの売れ行きは冬の気温によって大きく左右されます。だいたいの目安はその日の最高気温が10℃を下回る日でないと分厚いダウンはかえって暑苦しいですし、ユニクロの「ウルトラライトダウン」のような薄手のダウンで十分です。
そもそも、近年の東京や大阪の冬はそこまで寒くありません。一昨年も昨年も年末から年始にかけては比較的暖かく、年明けの1月半ばくらいから猛烈な寒波が押し寄せ、2月末までは厳冬に転じましたが、北極探検や南極探検にも耐えられるカナダグースは、都心の生活者にはオーバースペックではないかと思われる気候でした。
もちろん、体感温度には個人差がありますから、東京23区内でも分厚いダウンがないと寒くてたまらないという人がいても不思議ではありませんが、3月になると例年よりも早く暖かくなりますし、1月半ばから2月末までの1か月半ほどしか着用できないダウンに高額をかけるのはもったいないと思う人がいるのも分かります。
しかし、いくら暖冬になっても、欲しいダウンジャケット類がある方は今シーズン中に買っておくことをお勧めします。なぜなら、今年に入って羽毛の価格が高騰しているからです。カジュアルアパレルの企画担当者は口をそろえてこう言います。
「今年のダウンには昨年に買い付けた羽毛を使ったから値上げせずに済んだが、その備蓄がなくなる来年秋冬のダウンジャケット類は値上げせざるを得ない」
そして、大規模に羽毛原料を押さえているユニクロでさえ再来年の秋冬物では値段を上げざるを得ないのではないかと業界内では見られています。ですから、消費者的立場でいえば12月に始まるプレセールから、1月の初売りバーゲンまでに大幅値下げされたダウンジャケット類を買っておいたほうが良いと思います。