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ゴルゴ13の食事シーンが描かれない理由とは

◆ゴルゴとネコとバラバラ殺人犯の共通点

さいとう:専用のトイレを持参するほど、臆病でないとやっていけない、ということなんでしょうな。実はゴルゴも、非常に「臆病」なんです。「……10%の才能と20%の努力………そして、30%の臆病さ……残る40%は……“運”だろう……な……」というふうに、最初の頃は、「臆病」という台詞を随分入れていました。「臆病さ」というのは、用心深さの裏返しでもあるんです。大胆なスナイパーなど存在しません。

佐藤:よくわかります。ネコもそうですが、臆病なネコは転落死などしないですからね。だから臆病なネコほど生存率が高い。バラバラ殺人事件なども、犯人は臆病なんだろうと思います。臆病だからこそ、殺した後に平然と現場に残り、丹念に細かく切り刻んでいる。「臆病さ」は、「慎重さ」と言い換えてもいいかもしれません。

さいとう:ゴルゴは不確かな情報の仕事は一切受けません。受けた仕事も、自分で情報の裏をとっています。作戦を遂行する際も、あらゆる事態を想定していますし、何手先までも読んでいる。極めて慎重でなければ、一流のスナイパーにはなっていなかったでしょうね。

佐藤:ゴルゴが当代一流のスナイパーであることは論をまたないですが、実際のヒットマンの世界は40歳くらいで引退する人が多いようです。

さいとう:ゴルゴは年齢不詳になって久しいですけどね(笑)。

佐藤:どうしても反射神経の問題があって、40歳を過ぎると反射神経が落ちてくるそうです。

さいとう:31歳の時に連載を始めたんですが、その時、ゴルゴを自分のひとつ上の年齢、という設定にしたんです。連載は50年続いていますから、そのまま年をとらせたら大変なことになる(笑)。

※佐藤優、さいとう・たかを・著/『ゴルゴ13×佐藤優 Gのインテリジェンス』より

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