◆世界的に見ると重要性高まるプロ経営者

 その中で、環境の変化に適応するために、プロ経営者を登用する企業が増えてきた。それは、従来の企業経営の発想を補完・改善する取り組みといえる。

 プロ経営者の多くは、コンサルティング・ファームでの事業戦略の立案に従事したり、外資系企業で成果を上げるなどしてきた経験を持つ者が多い。結果的に見ると、彼らの多くが、短期間での成果実現を重視していると考えられる。わが国の企業文化が“マラソン”だとすると、プロ経営者の発想は1年間に100メートル走を全力で何本走るかに似ている。

 ただ、企業文化とプロ経営者の発想は、大きく異なる。そのため、プロ経営者を登用してみたものの、組織の士気が高まらなかったり、プロジェクトの評価や事業戦略を立案する際の時間軸などが異なり、意見がかみ合わないというケースは少なくないだろう。

 また、リクシルやライザップのように創業家(者)の影響が大きく、その考えを支持する幹部が多いと、プロ経営者は孤立しがちだ。そうなると、プロ経営者の判断が正しかったとしても、組織がその考えを受け入れることは難しくなる。それは、わが国に限ったことではない。

 プロ経営者をサーチする市場が発達してきた米国などに比べ、わが国におけるプロ経営者の登用はまだ初期段階にある。その意味で、現在は過渡期だ。プロ経営者の登用の是非を論じることができるだけの、十分なケースがあるとも言いづらい。

 IT技術などの普及に伴い、経済環境の変化のスピードは加速化している。成長を目指すために経営の専門家の意見を取り入れ、新しい取り組みを進めることの重要性はますます高まるだろう。

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