ライフ

94才料理研究家の家に100年伝わる伝統のライスカレー

鈴木家に100年伝わる伝統のライスカレー(撮影/近藤篤)

 11月で94才をむかえた“ばぁば”こと、最高齢料理研究家・鈴木登紀子さん。そんなばぁばが、鈴木家に伝わる思い出のライスカレーを紹介してくれた。

 * * *
 ばぁばはお料理とお作法をすべて、明治生まれの母・お千代さんから学びました。学んだと言っても、手取り足取り教えてもらったわけではありません。おもにお台所に立つ母にくっついて、目の配り方、手の動きをつぶさに観察して記憶したのです。

 ばぁばは、人一倍お転婆でしたから、しょっちゅう母に叱られ、お小言をもらっていたの。当時は、女と生まれたからには、ゆくゆくは夫に仕え、子供を育てるのが当たり前とされた時代。母はきっと、こんなお転婆でも嫁げるよう仕込んでくれたのかもしれません。

 パパとの結婚が決まったときは、「(清佐さんは)お前様には過ぎたお人じゃ」と。さぞかしホッとしたことでしょう。

 さて、今回ご紹介する「さらさらライスカレー」は、そんな母の自慢メニューの1つです。

 ばぁばが子供のころ、お台所から漂ってくるカレー粉の香りは特別なものでした。1930年代の青森県八戸では、“カレー”はとってもハイカラな食べ物だったのです。

 このライスカレーは、具材が全部一緒にスプーンにのるように小さく切り揃えられ、さらさらしたルーがお千代さん流。具材に火が通ったら煮込まずに、たっぷりご飯にかけてすぐにいただくの。そのおいしかったことといったら!

 私も子育て時代にはよく作りました。わが家にかれこれ100年伝わる“おふくろの洋食”でございます。お千代さんの時代は手に入らなかったので使っていませんでしたが、ばぁばはトマトケチャップも入れています。ほどよい酸味とコクが出ますが、こちらはお好みで。

◆作り方
【1】豚バラ肉300gは食べやすい大きさに切る。
【2】じゃがいも3個、にんじん1本、玉ねぎ2個は皮をむき、7~8mm角に切る。じゃがいもとにんじんは水に放し、ざるに上げて水気を切る。
【3】鍋に水5カップを入れ、【2】を加える。ローリエ1枚を加えて強火にかける。煮立ったら豚バラ肉、カレー粉・塩各大さじ1を入れ、弱火にしてアクを引きながら野菜がやわらかくなるまで煮る。
【4】ボウルに水溶き小麦粉大さじ4、カレー粉大さじ3を混ぜ合わせる。
【5】木べらで鍋の中を混ぜながら、【4】を鍋に少しずつ加えて全体になじませる。塩・酢・ウースターソース各大さじ1、しょうゆ大さじ2、砂糖小さじ1、こしょう適量を加える。とろみがついたら火を切る。好みでトマトケチャップやチリパウダー適量を加えてもよい。
【6】皿にご飯を盛って【5】をかけ、福神漬け、らっきょう、プチトマトなどを添える。

【プロフィール】
鈴木登紀子/現役最高齢、94才の日本料理研究家。鈴木登紀子料理教室主宰。『きょうの料理』(NHK Eテレ)への出演は約50年を数える。『ばぁば 92年目の隠し味』ほか著書多数。女性のための暮らし応援サイト「kufura」(https://kufura.jp/)にて、ばぁばの料理動画を絶賛公開中。

※女性セブン2018年11月29日・12月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン