芸能

異なる持ち味生かす三遊亭兼好と桃月庵白酒の『付き馬』名演

「付き馬」の名手は誰?

 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、かつての古今亭志ん朝と柳家小三治のように、異なる持ち味で落語の真髄を伝え双璧をなす三遊亭兼好と桃月庵白酒について、お届けする。

 * * *
 吉原の若い衆が通りがかりの男の「茶屋に貸してある金を取りに来た。先に遊ばせれば明朝手紙を書いて金を届けさせる」という言葉を真に受けて登楼させるが、男は翌朝「自分で金を取りに行くから一緒に来てくれ」と言い出す。若い衆は「吉原の中なら」と付いていくが、吉原の外を連れ回される破目に……。

 初代柳家小せんが完成させた型を志ん生、圓生が継承した廓噺『付き馬』。客が早桶屋の「おじさん」に若い衆のことを「兄が腫れの病で亡くなって図抜け大一番小判型の早桶が必要な男」だと偽って置き去りにした後の、若い衆と早桶屋の「噛み合ってしまう会話」の可笑しさもさることながら、何のかんのと饒舌に語りながら若い衆を引っ張り回す男の「口の上手さ」にこそ、この落語の真髄がある。ポンポンとリズミカルにまくし立てて有無を言わせず丸め込んでしまう古今亭志ん朝、フワフワと「ただ何となく」相手を逆らわせない雰囲気を醸し出す柳家小三治。彼らはまさに双璧だった。

 10月15日に深川江戸資料館で三遊亭兼好の『付き馬』を、翌16日には成城ホールで桃月庵白酒の『付き馬』を、立て続けに観た。どちらも絶品、今ではこの2人が双璧だろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
妻とは2015年に結婚した国分太一
《セクハラに該当する行為》TOKIO・国分太一、元テレビ局員の年下妻への“裏切り”「調子に乗るなと言ってくれる」存在
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン
歴史学者の河西秀哉氏
【「愛子天皇」の誕生を希望】歴史学者・河西秀哉氏「悠仁さまに代替わりしてから議論しては手遅れだ」 皇位継承の安定を図るには“シンプルな制度”が必要
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「給料もらっているんだからさ〜」国分太一、若手スタッフが気遣った“良かれと思って”発言 副社長としては「即レス・フッ軽」で業界関係者から高評価
NEWSポストセブン
ブラジル訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《クッキーにケーキ、ゼリー菓子を…》佳子さま、ブラジル国内線のエコノミー席に居合わせた乗客が明かした機内での様子
NEWSポストセブン
”アナウンサーらしくないアナウンサー“と評判
「笑顔でピッタリ腕を絡ませて…」元NMB48アイドルアナ・瀧山あかねと「BreakingDown」エース・細川一颯の“腕組み同棲愛”《直撃に「まさしくタイプです(笑)」》
NEWSポストセブン
グラビアのオファーも多いと言われる中川安奈アナ(本人のインスタグラムより)
《SNSで“インナーちらり笑”》元NHK中川安奈アナが森香澄の強力ライバルに あざとキャラと確かなアナウンス技術で「ポテンシャルは森香澄以上」との指摘
週刊ポスト
不倫が報じられた錦織圭、妻の観月あこ(Instagramより)
《錦織圭・モデル女性と不倫疑惑報道》反対を押し切って結婚した妻・観月あことの“最近の関係” 錦織は「産んでくれたお母さんに優しく接することを心がけましょう」発言も
NEWSポストセブン
お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン