正反対に見える晶と呉羽、もしかしたら根底ではどこかで通じあうものがあるのかもしれません。それは結末のわかる最終回まで、お楽しみとしてとっておきましょう。とにかく菊地凛子の存在は強烈なスパイスとして『けもなれ』の味をぐんと引き立てています。

◯成海璃子

『昭和元禄落語心中』(NHK金曜22時)で大御所落語家・八雲(岡田将生)の養女、小夏を演じている成海璃子さん。小夏の両親、助六とみよ吉は事故死を遂げた。八雲は二人の死を巡る秘密を抱いたまま、遺児・小夏を引き取り育ててきた。しかし、恩人の八雲のことを小夏は「親の仇」と恨み、「有楽亭助六は、お前が殺したんだ!」と叫ぶ。屈折した心情を抱えています。

 華やかな落語の舞台と対照的に、くっきりと影を落とす小夏の存在。しかし小夏自身はいじけていない。「天才・助六の娘」というプライドを持ち落語を心から愛し、背筋はすっと伸びていて、強さと繊細さ両方が求められる難しい役です。成海さんは、不遇な環境で育った小夏の、鋼のような芯の強さを見事に表現しています。

 時代設定から落語の芸まで構成も演出もデラックスな作品だけに、チマチマした演技では立ちゆかない。成海さんの逃げない役者根性、全身で勝負する姿がドラマに哀しみと複雑さを与えています。

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