芸能

映画『ボヘミアン・ラプソディ』 女性客が多い理由を分析

伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』が興収100億円超予測の大ヒット(Ph:Getty Images)

 世代を超えて異例のヒットを記録している映画がある。11月9日に公開された『ボヘミアン・ラプソディ』だ。

 世界的なロックバンド「クイーン」のボーカルで、1991年に45才の若さで旅立ったフレディ・マーキュリーの壮絶な生き様を描いたこの映画は、観客動員数180万人を記録(12月10日現在)。2016年公開の『シン・ゴジラ』に匹敵する驚異的な数字を叩き出している。

 時は1970年代初頭。フレディはバンドを結成し、一気にスターダムへと階段を駆け上る。生涯の女友達となったメアリー・オースティンとの交際や別離、同性愛者として生きていこうとする姿などは息をのむ。1985年に「アフリカ難民救済」のため英米から世界約150か国に衛星中継された、20世紀最大のチャリティーコンサート「ライヴ・エイド」のシーンは特に印象的だ。

 周りの人と一緒に歌ったり拍手したりしながら見る「応援上映」は、現在100館以上も実施。時折、すすり泣きや、周囲をはばからず号泣する声で盛り上がりを見せながら、ストーリーがクライマックスに向かうと、隣の人と手を取り合い大きな声で歌ったり、自然に手拍子が起きる。ラストは全員が立ち上がり、スタンディングオベーション。大歓声に包まれる──。

 なぜこれほどまでに熱狂的な支持を得ているのか。映画・音楽ジャーナリストの宇野維正さんは、こう解説する。

「最後の21分間の迫力あるライブシーンに向かってストーリー展開が盛り上がる秀逸な構成になっていて、当時のスタジアムにいるかのようなライブを体感できます。作品の仕上がりと観客の受け取り方が幸福な一致を見せ、非常に評価できる映画です」

 目を腫らしながら映画館から出てきた女性は、こう話す。

「通常の上映と応援上映で2回鑑賞しました。最も感動したのは、やはりいろいろな映像ライブが流れるところ。当時足を運んだ武道館ライブの熱狂がよみがえり、涙があふれ出て止まりませんでした。2度目は、目を閉じて、大音量での楽曲を堪能しました」(56才、保育士)

 中には10回以上も見たというヘビーなリピーターも少なくない。かつてのファンもフレディの生前を知らない若い世代もストーリーの展開と音楽の両方の感動におぼれ、何度も映画館に足を運びたくなるのもこの映画の特徴といえる。

 また、女性の観客が多いのも特徴的だ。その理由を、映画の宣伝担当者はこう分析する。

「クイーンは1975年に来日し第1次ブームが起きました。当時追っかけをしていた50~60代の女性たちに加え、木村拓哉さん(46才)主演のドラマ『プライド』(2004年、フジテレビ系)の主題歌『ボーン・トゥ・ラヴ・ユー』でクイーンを知ってファンになった女性たちが多く来場しているようです」

 これがクイーンの第2次ブーム。『プライド』でクイーンの虜になり、映画を鑑賞した40代女性はこう言う。

「映画を見て、クイーンやフレディ・マーキュリーについて初めて知ったことがたくさんあります」

※女性セブン2019年1月1日号

関連記事

トピックス

熱愛が報じられた新木優子と元Hey!Say!JUMPメンバーの中島裕翔
《20歳年上女優との交際中に…》中島裕翔、新木優子との共演直後に“肉食7連泊愛”の過去 その後に変化していた恋愛観
NEWSポストセブン
記者会見に臨んだ国分太一(時事通信フォト)
《長期間のビジネスホテル生活》国分太一の“孤独な戦い”を支えていた「妻との通話」「コンビニ徒歩30秒」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志と浜田雅功(時事通信フォト)
『ダウンタウンプラス』が絶好調でも浜田が出演しないのは…不仲説も流れた松本がこだわる「地上波復帰」と共演の初舞台の行方
週刊ポスト
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(EPA=時事)
《“勝者と寝る”過激ゲームか》カメラ数台、USBメモリ、ジェルも押収…金髪美女インフルエンサー(26)が“性的コンテンツ制作”で逮捕されなかった背景【バリ島から国外追放】
NEWSポストセブン
「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《独占スクープ》敏腕プロデューサー・SKY-HIが「未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し」、本人は「軽率で誤解を招く行動」と回答【NHK紅白歌合戦に出場予定の所属グループも】
週刊ポスト
米倉涼子
《米倉涼子の自宅マンション前に異変》大手メディアが集結で一体何が…薬物疑惑報道後に更新が止まったファンクラブは継続中
火事が発生したのは今月15日(右:同社HPより)
《いつかこの子がドレスを着るまで生きたい》サウナ閉じ込め、夫婦は覆いかぶさるように…専門家が指摘する月額39万円サウナの“論外な構造”と推奨する自衛手段【赤坂サウナ2人死亡】
NEWSポストセブン
自らを「頂きおじさん」と名乗っていた小野洋平容疑者(右:時事通信フォト。今回の事件とは無関係)
《“一夫多妻男”が10代女性を『イヌ』と呼び監禁》「バールでドアをこじ開けたような跡が…」”頂きおじさん”小野洋平容疑者の「恐怖の部屋」、約100人を盗撮し5000万円売り上げ
NEWSポストセブン
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン