ライフ

先祖代々の“お宝”、無償譲渡で違法になってしまうことも

売るのも売買も違法な“お宝”って?(イラスト/うえだのぶ)

 物心ついた頃から実家に置いてあった、はく製や敷物。そんなお宝は、売れば数万から数百万円の値がつくものもある。

 しかし、環境省自然環境局野生生物課条約法令係の担当者によれば、「家宝の中には、自由に売買するのはもちろん、無償で譲渡することも違法になってしまうものがある」と言う。

 それは「種の保存法」により譲渡等が禁止されている「象牙」や「トラの敷皮」、「カメのはく製」の置物など、先祖から代々大切にしてきた“お宝”だ。

 ちなみに、「種の保存法」とはどういうものなのか? 絶滅のおそれがある野生動植物を守るために、国際的な輸出入を規制しているワシントン条約を補完する観点から、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」が作られ、日本国内での取引等を規制している。

 種の保存法ではワシントン条約の附属書Iの掲載種が「国際希少野生動植物種」に指定されており、譲渡等が原則禁止されている。商業的な国内取引を行う場合は、登録を行い、登録票と共に譲渡等を行うことが可能になる。対象になるのは生体、鳥等の卵(個体)だけでなく、種によってははく製や羽、牙などの部分(器官)、毛皮やバッグなどの加工品も含まれる。

◆個人所有の象牙は未登録がまだある

 日本では1970~1980年代にかけて象牙ブームが起こり、一本牙が大量に輸入されていたが、現在はワシントン条約で象牙の商業的な国際取引は禁止されているため、日本に新たに入ってくることはない。

 また、「種の保存法」による象牙規制が適用される前の、1980年11月4日以前に入手した「アジアゾウ」の牙や、1990年1月18日以前に入手した「アフリカゾウ」の牙の場合は、所有しているだけなら処罰の対象にはならない。だが、売る、買う、あげる、もらう、貸す、借りるなどは禁止されているのだ。

 アフリカでは象牙の取得を目的とした象の密猟や象牙の密輸が問題になっており、国際的に管理強化が求められている。

「日本では、2017年8月末から『象牙在庫把握キャンペーン』を実施しています。過去に合法的に輸入された象牙が多数存在しているものの、多くは個人が所有しているため、全体量を把握できていないのが現状です。

 2019年6月頃からは、取得した経緯を説明する書類の審査なども含め、取引規制をさらに厳格化していく予定です。登録を受けていれば、国内であれば登録票とともに譲渡なども行えます。未登録のものは早めの登録を」(前出・担当者)

※女性セブン2019年1月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平選手と妻・真美子さん
《チョビ髭の大谷翔平がハワイに》真美子さんの誕生日に訪れた「リゾートエリア」…不動産ブローカーのインスタにアップされた「短パン・サンダル姿」
NEWSポストセブン
石原さとみ(プロフィール写真)
《ベビーカーを押す幸せシーンも》石原さとみのエリート夫が“1200億円MBO”ビジネス…外資系金融で上位1%に上り詰めた“華麗なる経歴”「年収は億超えか」
NEWSポストセブン
神田沙也加さんはその短い生涯の幕を閉じた
《このタイミングで…》神田沙也加さん命日の直前に元恋人俳優がSNSで“ホストデビュー”を報告、松田聖子は「12月18日」を偲ぶ日に
NEWSポストセブン
高羽悟さんが向き合った「殺された妻の血痕の拭き取り」とは
「なんで自分が…」名古屋主婦殺人事件の遺族が「殺された妻の血痕」を拭き取り続けた年末年始の4日間…警察から「清掃業者も紹介してもらえず」の事情
(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
熱を帯びる「愛子天皇待望論」、オンライン署名は24才のお誕生日を節目に急増 過去に「愛子天皇は否定していない」と発言している高市早苗首相はどう動くのか 
女性セブン
「台湾有事」よりも先に「尖閣有事」が起きる可能性も(習近平氏/時事通信フォト)
《台湾有事より切迫》日中緊迫のなかで見逃せない「尖閣諸島」情勢 中国が台湾への軍事侵攻を考えるのであれば、「まず尖閣、そして南西諸島を制圧」の事態も視野
週刊ポスト
盟友・市川猿之助(左)へ三谷幸喜氏からのエールか(時事通信フォト)
三谷幸喜氏から盟友・市川猿之助へのエールか 新作「三谷かぶき」の最後に猿之助が好きな曲『POP STAR』で出演者が踊った意味を深読みする
週刊ポスト
ハワイ別荘の裁判が長期化している(Instagram/時事通信フォト)
《大谷翔平のハワイ高級リゾート裁判が長期化》次回審理は来年2月のキャンプ中…原告側の要求が認められれば「ファミリーや家族との関係を暴露される」可能性も
NEWSポストセブン
今年6月に行われたソウル中心部でのデモの様子(共同通信社)
《韓国・過激なプラカードで反中》「習近平アウト」「中国共産党を拒否せよ!」20〜30代の「愛国青年」が集結する“China Out!デモ”の実態
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《自宅でしっぽりオフシーズン》大谷翔平と真美子さんが愛する“ケータリング寿司” 世界的シェフに見出す理想の夫婦像
NEWSポストセブン
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(時事通信フォト)
《潤滑ジェルや避妊具が押収されて…》バリ島で現地警察に拘束された英・金髪美女インフルエンサー(26) 撮影スタジオでは19歳の若者らも一緒だった
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
「週刊ポスト」本日発売! プロ野球「給料ドロボー」ランキングほか
NEWSポストセブン