秋田:いやいや、それはよくわかっています。私のお寺でもお墓を決めるのはほとんど女性です。今、井上さんが話されたようなこともたくさん聞いたし、主人を看取ったので、もう自分の婚家の墓には入りたくない、卒業したいという形で個人のお墓を選ぶ女性のかたもいらっしゃいましたから。

仲野:結婚した後に、実家の墓に入るという女性もおられるんですか?

井上:出てきてますよ。結婚して名字が変わっている女性が実家のお墓を継ぐ例も増えてきています。

仲野:即物的な考え方ですが、ぼくは骨になったら、もうどうでもええやんと思うんですけどね。死んで焼いたら、骨は所詮リン酸カルシウムですから(笑い)。それでも婚家の墓に入りたくないというのは、どれだけ憎いんかなと思いますね。

秋田:ぼくは死というのは一人称だけで決められないと思うんです。死は送った人の二人称の観点から見なきゃいけないわけで、自分が亡くなった後、娘さんがどのように手を合わせたらいいか、その場所と機会を用意してあげることは大事ですよね。

【プロフィール】
井上理津子■いのうえ・りつこ。1955年奈良市生まれ。ノンフィクションライター。著書に『葬送の仕事師たち』『親を送る』『さいごの色街 飛田』など。最新刊はさまざまなお墓を取材した『いまどきの納骨堂 変わりゆく供養とお墓のカタチ』。

仲野徹■なかの・とおる。1957年大阪市生まれ。大阪大学大学院・医学系研究科教授。専門は「いろんな細胞がどうやってできてくるのだろうか」学。著書に『こわいもの知らずの病理学講義』『(あまり)病気をしない暮らし』など。

秋田光彦■あきた・みつひこ。1955年大阪市生まれ。大蓮寺の29代目の住職、應典院代表。人生の末期を支援するエンディングサポートをNPOと協働して取り組むなど「協働」と「対話」の新しい地域教育にかかわる“おもろい住職”。

※女性セブン2019年1月1日号

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