マツダが2010年に発表したスカイアクティブエンジンは、世界一高圧縮のガソリンエンジンと低圧縮のディーゼルエンジンで「スカイアクティブ技術」を世に知らしめた。
当時、マツダは資本提携先の米フォードがリーマンショックで一気に経営が厳しくなり、マツダから離れる方向を進めてマツダとしても厳しい状況に追い込まれていた。だが、その中でスカイアクティブ技術を愚直に磨き上げてきたことが高い評価を受けたのだ。
マツダは、このスカイアクティブをさらに進化(深化)させることに取り組み、「スカイアクティブ-X」は、予混合圧縮点火(HCCI)を実用化することに成功した。これは、圧縮着火なのに点火プラグを使うという発想の転換で、火花点火制御圧縮着火(SPCCI)を世界で初めて実用化させた画期的なエンジンといえる。
「EV大転換と言っても、ウェル・トゥー・ホイール(燃料採掘から車両走行まで)の視点でCO2削減に取り組んでいかねばならない。すぐに世界がEVだけにはならないし、内燃機関でCO2をいかに削減するか、まだまだ進化できる」(マツダの開発技術陣)
との考えがスカイアクティブ-Xの実用化にこぎつけたのだ。
マツダの新世代商品の第一弾となる「マツダ3」は、Cセグメントの小型セダンとハッチバックで、マツダが日本の美意識の本質を体現することを目指して深化させた「魂動(こどう)デザイン」を採用している。丸本社長は「魂動デザインと走り、ストレスなくクルマと一体になれるマツダの強み、独自性を強く主張したのがマツダ3だ」と自信を込める。
このマツダ3の世界初公開を米国のロサンゼルスオートショーとしたのは、最近の北米自動車市場が大型車かつSUV主流のトレンドにある中で小型車セダン・ハッチバックを披露しマツダの独自ブランド性を問うたものである。