その後、差別の対象は在日や中国人だけではなく、生活保護受給者、沖縄県人、アイヌ、LGBTにも向かった。そして恐ろしいのは、こういった差別主義、排外主義は著名な評論家、与党の政治家やメディアとも共有され、いつのまにか社会のデフォルトのようになりつつある。
東京オリンピックを控え、外国人労働者をさらに多く迎える日本で、人権を無視した排外主義が跋扈するというのは悪夢でしかない。「きれいごと」であったとしても、私たちはもう一度、改めて「ひとりひとりが大切にされる社会」を目指すべきなのではないか。良心的なメディアにも、ぜひ「人権の啓発」という古くて新しいテーマへの取り組みをお願いしたい。
※週刊ポスト2019年1月1・4日号