「希林さんにはキンタマ触られた。もうびっくりしたよ。何すんだろうって。フリじゃなくて、本当につかんでた」
すると、樹木も負けてはいない。
「残念ながら全然手が覚えていない…。触られた方は忘れないよね」
いずれにしても、当時の撮影現場の鷹揚な雰囲気が伝わってくるエピソードだ。小林が当時を振り返る。
「西城さんはバリバリの売れっ子で、リハーサルをする時間がないほどでしたね。ぼくが投げ飛ばして骨折させてしまったときは、彼のファンから『同じ目に遭わせてやる』とか『お前の大事なところを引っこ抜いてやる』っていう脅迫めいた手紙が来て、怖いなと思ったりしました(笑い)。
人気絶頂なのに、スター気取りがまったくなく、“気のいい近所のお兄さん”風の自然体だった。ぼくもスタッフも大好きで、本当にかわいがられていましたよ。特に印象に残っているのは、劇中の食卓シーンで、実際にものすごくモリモリ食べること。忙しすぎて食べる時間がなかったんだろうね」
秀樹の朴訥で飾らない人柄には、人を惚れさせる引力があった。
その後、『寺内貫太郎一家』はシリーズ化され、舞台やスペシャルドラマにもなったほか、1998年には通信会社のCMでも“再結成”したりと、メンバーが顔を合わせる機会が続くことになる。小林は目を細めてこうつぶやく。
「40年間、なんだかんだいいながらずっと会っているので、本当の家族のような絆ができてくるんですよ」
※女性セブン2019年1月3・10日号