ライフ

猫のおしっこ関連病気は危険、尿路結石で命を落とすことも

尿路結石は、体の構造上オスがなりやすい(Ph:Getty Images)

 ペットフード販売会社・ペットラインの調査によると、猫の健康上の悩みでいちばん多いのは、下部尿路の問題、要するに“おしっこの悩み”だった。その原因は主に、あまり水を飲まないことにあるとされ、特に冬場に増えるという。そんなおしっこに関する病気について深掘りする。

 猫がよくかかる病気として、下部尿路(膀胱から尿道出口までの部位)の疾患がある。これは、猫があまり水を飲まないために起こる。では、なぜ飲まないのか。それは猫の祖先であるリビアヤマネコが関係していると、シリウス犬猫病院の院長・石村拓也さんは話す。

「リビアヤマネコは砂漠地帯に生息しており、少ない水分でも生き抜けるような体になっています。その遺伝子を受け継ぐ猫もまた、渇きを感じる感覚が鈍いと考えられています」(石村さん・以下同)

 水分不足が原因で発症しやすい下部尿路疾患には、大きく分けて2つの症状がある。1つは、膀胱に炎症が起きる“膀胱炎”、そしてもう1つは、膀胱や尿道に結石がたまる“尿路結石”だ。

「冬は空気が乾燥しているため、体内の水分が奪われやすい。だから冬は特にこれらの症状が増えるんです。体は水を濃縮してから出すため、おしっこにミネラル分が多くなり、それが結石のもとにもなります。さらに気温が低いと、ミネラル分が固形化しやすいんです」

◆5mm程度の結石でも命を落とす危険性が

 石村さんの病院でも、膀胱炎や尿路結石など、下部尿路疾患を訴えて受診する猫が12~1月頃に増えるという。

 飼い主が膀胱炎や尿路結石に気づく主な異変としては、「血尿が出た」「頻繁にトイレに行くようになった」「排尿中に痛がる」「おしっこがまったく出ない」など。中でも「おしっこに血が混じる」「頻繁にトイレに行くわりにおしっこの量が少ない」といった症状が多いという。

「膀胱炎はすぐに命にかかわることはありませんが、尿路結石は、詰まると1~2日で致命的な状態になる恐れも。体格にもよりますが、5mm程度の結石でも、死の危険性が」

 膀胱炎か尿路結石かの区別は、家庭では難しい。前述のような症状が見られたら、すぐに獣医に相談しよう。

 では、どのようなケアを心がけるといいのか。予防の基本は、水を飲ませることだが、それには工夫が必要だ。

「まずは水を飲む環境をつくりましょう。猫は新鮮な水を好みます。流れる水も好きなので、噴水タイプの給水器を用意するのもいいでしょう。さらに、水に好きな香りなどをつけるのもおすすめです」

 食事もドライフードだけでなく、水分を含んだウエットフードを与えたり、膀胱炎や尿路結石になりやすい猫には、専用の療法食に切り替えるのも有効な手段だ。そして、日頃から愛猫のおしっこの回数・量・色・排尿時の様子を観察しよう。猫は体の不調をさまざまな仕草や行動で飼い主に知らせている。そのサインを見逃さないことが大切だ。

※女性セブン2019年1月17・24日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト