ビジネス

30代女性2人が起業した“小規模出版社”のメリットと強み

着物姿の佐藤さん(左)と安澤さん(右)

――出版社として今後どのような挑戦をしていきたいですか?

安澤:小規模出版社のもう一つのメリットとして、著者との距離感の近い本作りすることができるということがあります。販売に関しても、著者のかたが自分ごととして関わってくださいます。著者と一体となって、社会に価値観を揺さぶるプロジェクトを行う。それが私たちのスタンスだと思います。

 例えば、これは私たちが携わった「きずな出版」から出る吉藤オリィさんの著書『サイボーグ時代リアルとネットが融合する世界でやりたいことを実現する人生の戦略~』の制作で採った手法なのですが著者との公開インタビューをして、読者を巻き込みながら本づくりをしていくといった方法はおもしろかったですね。そうしたトライを自社でも行っていきたいと思います。

佐藤:小規模出版社の先輩と話していると、「売り方」の枠も超えていこうとしていてとてもワクワクします。取次会社を介さずに本を販売できるということは、これまでのイメージにとらわれず書籍を流通させることができるということを意味します。例えば、絶版新書出版社の吉田秀次さんは、書店に人が足を運ばないのならば、人がいるところにこちらが出向くという考えから、「ランニングの本だから、ランニングシューズの横に並べたらいいのではないか」「マラソン大会の公式本として会場で売れないか」など、既存の本の売り方にとらわれないアイディアを話してくださり、とても刺激を受けます。

 刊行する1冊ずつと向き合って、読者に届く新しいアイディアをどんどん試していく、そんなスタンスで私たちも出版事業を続けていくつもりです。

 本の作り方の枠も、売り方の枠も超えていく。必要とする人の手に本が届き、価値観が揺さぶられ、明日が違うように見えてくる。私たち、レゾンクリエイトは、そんな出版サービスを目指していきたいと思っています。

【Profile】
株式会社レゾンクリエイト https://raisoncreate.co.jp/

◆安澤真央(Anzawa Mao)/慶応義塾大学商学部卒業。ビジネス系出版社、ITベンチャー企業の経営企画兼社長秘書を経て、フリーランス秘書として独立。その後、佐藤とともにレゾンクリエイトを設立。

◆佐藤智(Sato Tomo)/横浜国立大学大学院修了後、出版社に入社。その後、ベネッセコーポレーションに転職、教育情報誌『VIEW21』の編集に当たる。フリーライターとして独立後、レゾンクリエイトを立ち上げる。同時に、教員免許取得や学校の教師500人以上にインタビューした経験から教育ライターへ。著書に、『公立中高一貫校選び 後悔しないための20チェックポイント』(ディスカヴァー21)、『先生のための小学校プログラミングがよくわかる本』(共著・翔泳社)がある。

関連記事

トピックス

(写真/共同通信)
《神戸マンション刺殺》逮捕の“金髪メッシュ男”の危なすぎる正体、大手損害保険会社員・片山恵さん(24)の親族は「見当がまったくつかない」
NEWSポストセブン
列車の冷房送風口下は取り合い(写真提供/イメージマート)
《クーラーの温度設定で意見が真っ二つ》電車内で「寒暖差で体調崩すので弱冷房車」派がいる一方で、”送風口下の取り合い”を続ける汗かき男性は「なぜ”強冷房車”がないのか」と求める
NEWSポストセブン
アメリカの女子プロテニス、サーシャ・ヴィッカリー選手(時事通信フォト)
《大坂なおみとも対戦》米・現役女子プロテニス選手、成人向けSNSで過激コンテンツを販売して海外メディアが騒然…「今まで稼いだ中で一番楽に稼げるお金」
NEWSポストセブン
ジャスティン・ビーバーの“なりすまし”が高級クラブでジャックし出禁となった(X/Instagramより)
《あまりのそっくりぶりに永久出禁》ジャスティン・ビーバー(31)の“なりすまし”が高級クラブを4分27秒ジャックの顛末
NEWSポストセブン
愛用するサメリュック
《『ドッキリGP』で7か国語を披露》“ピュアすぎる”と話題の元フィギュア日本代表・高橋成美の過酷すぎる育成時代「ハードな筋トレで身長は低いまま、生理も26歳までこず」
NEWSポストセブン
「舌出し失神KO勝ち」から42年後の真実(撮影=木村盛綱/AFLO)
【追悼ハルク・ホーガン】無名のミュージシャンが「プロレスラーになりたい」と長州力を訪問 最大の転機となったアントニオ猪木との出会い
週刊ポスト
野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト