一見バラバラに見えるそれらのパーツは、闇の中を手探りのようにして進んでいくと、それぞれがまるで針で貫かれたビーズのように、一本の糸によってつながっていることがわかる。直結しているのだ。中国とアフリカが。アフリカと日本が。そして無数の生と無数の死が。我々が子どもに卒業祝いで無邪気に象牙の判子を買い求めるとき、アフリカではゾウが殺され、学生たちの首がなたで切り落とされている。
本作品と今回の受賞が、アフリカゾウを絶滅から守ろうとする人々を励まし、日本における象牙市場の閉鎖のきっかけにつながればと切に願う。
【プロフィール】みうら・ひでゆき/1974年神奈川県生まれ。新聞記者、ノンフィクション作家。2000年、朝日新聞社に入社。南三陸駐在、アフリカ特派員などを経て、現在は福島総局員。2015年、『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』(集英社)で第13回開高健ノンフィクション賞を受賞。
※週刊ポスト2019年1月18・25日号