さらに1隻は日本国内の船舶保険組織と2018年11月20日付で保険契約を結んでいる。禁輸品の輸送に関与した船舶への保険サービス提供を禁止した安保理決議2397号第11項に明確に違反している。
国内ではよく「文在寅政権は金正恩に融和的だ」との批判を聞くが、日本のほうが対北制裁に消極的だ。
◆国外の制裁違反は不問
北朝鮮は世界中にネットワークを張り巡らし、国連制裁違反を繰り返す。日本人も重要な役割を果たしてきた。例えば、国連制裁対象となった北朝鮮最大の海運会社「オーシャン・マリタイム・マネジメント社」の中核では、都内で会社を経営する日本人を含む、日本国内のネットワークが重要な役割を果たしていた。だが、日本国内では誰一人として訴追されていない。
実は日本では、海外で国連制裁違反事件に加担した個人や企業、船舶を制裁するための国内法がない。海外の国連制裁違反事件は日本の国内法とは無関係で、問題とみなされないのだ。
しかし、2013年3月の安保理決議2094号では、北朝鮮の制裁逃れに「貢献しうる」あらゆる資産の移転阻止を加盟国に義務づけている(「資産」には船舶も含まれる)。約6年前の決議だが、このとき、外務省が国内法を整備しなかった。そのため、前述の韓国が制裁した4隻は、日本も原則として入港を認めてはならないはずだが、それができずにいる。