国際情報

文在寅政権よりも日本のほうが対北朝鮮制裁に消極的

昨年11月、「先端戦術兵器」の実験を視察した金正恩 KNS/KCNA/AFP/AFLO

 北朝鮮の「非核化」は膠着している。他方、北朝鮮による石油製品の洋上での「瀬取り」や石炭密輸等は後を絶たない。日本にとって最大の問題は日本自身の対北制裁の実効性にある。国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員の古川勝久氏が、解説する。

 * * *
〈北朝鮮の非核化実現には、国連安保理決議の完全履行が重要である〉

 安倍首相お得意のフレーズだ。米朝首脳会談を経ても北朝鮮は核を放棄せず、対北朝鮮圧力の継続が大きな課題である。だが安保理決議を完全履行していないのは、他ならぬ日本だ。  例えば、日本には、国連制裁違反事件に関与した船舶が頻繁に寄港している。

 2018年8月、韓国政府は、国連禁輸品の北朝鮮産石炭の対韓国密輸事件に加担したとして、外国籍貨物船4隻を入港禁止にした。北朝鮮産石炭は、北朝鮮からロシア極東サハリンの港まで運ばれた後、そこで前述の貨物船4隻に積み替えられて、「ロシア産」として韓国の港まで運ばれていた。うち2隻については、国連の専門家パネルも2018年3月付の報告書で石炭密輸事件への関与を指摘していた。

 だが、これらの貨物船4隻は日本には自由に出入りしている。4隻の運行会社4社はすべて中国企業で、うち1社は都内に事実上の支社がある。4社は最低でも計20隻の貨物船を運行し、うち18隻が日本とロシアに頻繁に寄港している。北朝鮮産石炭がロシア経由で日本に密輸された可能性が懸念される。

 2018年11月に国会で長島昭久衆議院議員がこの問題を追及すると、日本政府は、北朝鮮産石炭が全面禁輸とされて以降、貨物船4隻は計61回も日本に入港していたと認めた。国連制裁違反貨物船舶は、何ら制裁を受けることもなく、その後も日本に入港している。

関連記事

トピックス

WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
高校時代には映画誌のを毎月愛読していたという菊川怜
【15年ぶりに映画主演の菊川怜】三児の子育てと芸能活動の両立に「大人になると弱音を吐く場所がないですよね」と心境吐露 菊川流「自分を励ます方法」明かす
週刊ポスト
ツキノワグマは「人間を恐がる」と言われてきたが……(写真提供/イメージマート)
《全国で被害多発》”臆病だった”ツキノワグマが変わった 出没する地域の住民「こっちを食いたそうにみてたな、獲物って目で見んだ」
NEWSポストセブン
2020年に引退した元プロレスラーの中西学さん
《病気とかじゃないですよ》現役当時から体重45キロ減、中西学さんが明かした激ヤセの理由「今も痺れるときはあります」頚椎損傷の大ケガから14年の後悔
NEWSポストセブン
政界の”オシャレ番長”・麻生太郎氏(時事通信フォト)
「曲がった口角に合わせてネクタイもずらす」政界のおしゃれ番長・麻生太郎のファッションに隠された“知られざる工夫” 《米紙では“ギャングスタイル”とも》
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
将棋界で「中年の星」と呼ばれた棋士・青野照市九段
「その日一日負けが込んでも、最後の一局は必ず勝て」将棋の世界で50年生きた“中年の星”青野照市九段が語る「負け続けない人の思考法」
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン