外務省は「入港の際、貨物検査はちゃんとしている」と主張する。しかし、海上保安庁や警察が船舶への立ち入り検査を繰り返しても、第三国で積み替えられた石炭を北朝鮮産と特定するのはそもそも難しい。
制裁違反した船舶と関連企業を処罰しない姿勢も問題だ。これでは、「次なる制裁違反」を抑止できない。外務省が主張する「禁輸品の不正輸入の阻止」だけが制裁の目的ではない。
●ふるかわ・かつひさ/1966年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1998年ハーバード大学ケネディ政治行政大学院にて修士号取得。1999年読売論壇新人賞優秀賞受賞。2011年から4年半、国連の「専門家パネル」委員を務める。その経験をまとめた『北朝鮮 核の資金源「国連捜査」秘録』で新潮ドキュメント賞を受賞。
※SAPIO2019年1・2月号