ただ、国が目指しているほどには検診率が上がっていません。これは日本に国民皆保険制度という素晴らしい制度があるため、国民はそれに甘えてるところがあるんだと私は思っているんです。アメリカだと、もし進行がんか何かになったら、本当にすさまじくお金がかかる。それがわかっているから子宮頸がんにしても乳がんにしても、アメリカの検診率は8割を超えているんですよ。
私は国が指定する5つのがんで早期発見をしたら、患者さんの負担を1割減免して、2割負担にしてあげるといいと言ってるんです。お金が絡んだら検診率は間違いなく上がりますよ。厚労省に提案しているんですが、エビデンスがないとかなんとか言って、なかなか踏み切ってくれません。
小笠原:先生、それ、いいアイディアですよ!
垣添:私は今も2~3年にいっぺん、古巣のがんセンターの予防検診研究センターでちゃんとお金を払って、濃密な検診を受けてます。国が決めてる胃がんとか肺がんとか大腸がん、それから前立腺がんもPSA検査でやってますから、仮になっていたとしても、早急に発見できるだろうと。
だから、私が死ぬときは多分、珍しいがんになって死ぬんじゃないかと思います。で、立場上、治る可能性があるうちは頑張りますけれども、どうしても難しいとなったら、もう点滴も何も断って、家に帰ってきて、家で死のうと思っているんです。しかしそのときに、かなり元気でないと家でなかなかひとりで死ねない。私は子供もなく、高齢単独所帯ですから。
小笠原:おっしゃるように、病気があっても、ギリギリまでピンピンしていて、その後に苦しむことなく、安楽にお別れを言って、ふっと亡くなることができたら最高かなと思いますね。それにしても、先生は本当にお元気です。
垣添:いえいえ、ひとりで家で死ぬためにはよほど元気でいなくちゃいけないと思って、運動はしっかりやっています。
小笠原:どれぐらい運動をしているんですか?
垣添:毎朝、腕立て伏せ100回、腹筋500回、スクワット100回、つま先立ち100回、かかと立ち100回などストレッチも含め約1時間の運動をしています。それから妻を亡くした悲しみを、新しいことを始めることで忘れようと思って、現役の頃からやりたかった居合も始めました。毎回1~2時間、汗びっしょりになって稽古するんです。今日も夕方から三菱の道場に稽古に行きます。小笠原先生は?