予防のためにとまだ確たる症状がないのに服用したり、症状が治まってもぶり返さないようしばらく服用を続ける──そんな慎重さは必要ないという。新潟大学名誉教授の岡田正彦医師が語る。
「そもそも市販の風邪薬は、風邪を根治するものではなく、症状を和らげる対症療法にすぎない。風邪をひきそうだからと曖昧な段階で“予防”のために飲んでも、効果は期待できません。風邪の症状がなくなったら、その時に服用はやめていい。“まだ2日しか飲んでいないから”などと無駄に服用を続けても意味がありません」
花粉症の時期に手放せない鼻炎薬も、1日の用量を守っていれば何日も続けていいというわけではない。とくにステロイドを配合した点鼻薬には注意が必要だ。
「鼻炎薬には2種類あって、血管収縮剤入りのものとステロイドホルモンが入っているものがある。ステロイドを配合している場合には、副作用もあるために添付文書に『長期連用しないでください』と明確に記述されています。この場合の『長期』とは具体的には1年間のうちに30日以上使ってはいけないということです」(同前)
風邪薬、鼻炎薬、鎮痛剤など、薬によってそれぞれ用法用量は違うが、岡田医師はこう喚起する。
「総じて、市販薬は1週間以上使い続けないというのが大原則です。症状が改善しないからと服用を続けるのではなく、その時は市販薬のやめ時と考えるべきでしょう」
身近な薬だからこそ、服用には適度な付き合い方が求められる。
※週刊ポスト2019年2月1日号