ハンバーガー業界は、「マクドナルド」や「ロッテリア」、「ウエンディーズファーストキッチン」などが、チェーンストアとして運営している店が大半を占める。現在の一般的な認識でのハンバーガーとは、「マクドナルドを筆頭とするファストフード」のことを指し、“グルメバーガー”というスタイルがあることを知らない人がほとんどである。
グルメバーガーも数年に一度ちょっとしたブームが起こり、テレビ番組や雑誌で特集されたりもするが、「1000円以上もする高級ハンバーガー」として括られることが多い。つまり、企画物、マニア向けの趣向品的な扱いで一般性がなく、なかなか根付いてこないのが実情なのである。
では、グルメバーガーの定義とは何か──。本来はハンバーガー専門店で提供されている、細部まで味の構成がしっかりデザインされたハンバーガーのことを指すのだが、飲食店では意外とハンバーガーというメニューの参入障壁は低い。
少しでも肉を食材として扱い、丸いフォルムのバンズ(サンドイッチ用のパン)にハンバーグやテリヤキチキン、その他、野菜など何でも挟み込めば、「〇〇バーガー」というメニューができてしまう。しかし、中には“ハンバーガーらしきもの”が多く、グルメバーガーと呼ぶには程遠い商品があるのも事実だ。
しかし、それはそれで仕方がない面もあるだろう。そもそもラーメン店と比べて圧倒的にハンバーガー専門店の数が少なかったことに加え、グルメバーガーの定義が曖昧だったので、残念ながら料理として認められてこなかったからだ。
ならば「真のグルメバーガー」の存在を世に知らしめたい──というところから自著『ハンバーガーの発想と組み立て』の企画が始まった。業界内で技術を共有して全体のレベルの底上げもしたいとの意図から、グルメバーガー界のレジェンド的存在の吉澤清太氏にも、技術監修として持てる技術やレシピを惜しげなく披露していただいた。
ここで、少しグルメバーガーについて解説すると、本書で紹介したトップランカーのハンバーガー店の特徴は、提供された時点で味の構成が完成されていることにある。