ビジネス

なぜミシュランガイドに「ハンバーガー」が掲載されないのか

究極の「グルメバーガー」は具材の積み上げ順も計算されている

 レストランの格付け本として名高い『ミシュランガイド東京2019』に、世界で初めて“おにぎり専門店”の「浅草 宿六」が掲載され、大きな話題となった。これまで同ガイドには、和食やフレンチなどの高級店ばかりではなく、B級グルメの人気ラーメン店なども掲載されてきたが、意外にも日本人が大好きな“ハンバーガー店”は紹介されていない。一体なぜなのか。近著に『ハンバーガーの発想と組み立て』(誠文堂新光社)があるフードコンサルタントでバーガー研究家の白根智彦氏が解明する。

 * * *
 ラーメンが『ミシュランガイド東京2015』で初めて掲載され、新たなカテゴリー(ビブグルマン=コストパフォーマンスの良いオススメ店)となった時には、大きな驚きがあった。

 確かにラーメンはメディアの露出も大きく、ラーメンフリークだけでなく外国人観光客の来店も増えた。今や「日本独自の食文化」として認知はされてきたものの、庶民の日常に寄りすぎているうえ、おおよそ1000円以内で食べることができてしまい、ミシュラン的な“食事としてのストーリー”ではなく、“単品のメニュー”としてポジショニングされていると理解していたからである。

 しかし、翌年の「ミシュランガイド東京2016」では、「Japanese Soba Noodles 蔦(つた)」が一つ星を獲得。1杯のラーメンを作り上げる“職人の仕事”のクオリティは充分に星のレベルに値すると考えていたが、店舗の設備や利用動機が選定の前提条件として重要なファクターだと認識していたので、さらに驚いた。

 以来店の入れ替わりはあるが最新の「ミシュランガイド東京2019」では一つ星が3店、ビブグルマンに24店が掲載されている。さらに今回は「おにぎり」のカテゴリーも増えたのが話題となったのは周知の通り。

 ラーメン業界では、「日高屋」や「一風堂」など、チェーンストアとして運営している店が数々ある。品質も高いレベルで安定し、価格も手頃、普段使いとしてとても重宝する。しかし実際ミシュランガイドに掲載されているラーメン店は、企業の運営するチェーンストアではなく、主に小規模経営の個人のお店だ。

 当然のごとく、店舗で趣向を凝らしたスープを作り、 チャーシューなどの具材に徹底的にこだわって仕込み、自家製麺を使っている店も少なくない。店主が陣頭指揮を執っているからこそのクラフト性。期待を裏切らずレベルの高い1杯を提供してくれる。

 また、ラーメン店はテレビ番組や雑誌でも常に新登場や話題の店は紹介されているので、情報が入手しやすい。人気店のメニューはコンビニとコラボしたカップ麺としても、高いレベルで再現されている。ポイントは、ラーメンマニアでない人も、行ったことのあるラーメン店がいくつかあるということである。

 しかし、これがことハンバーガーとなると事情は一変する。

関連記事

トピックス

鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン