昨年は、ドラフト1位で入団した村上宗隆(18)が一軍に昇格して初打席初本塁打を放ったり、2016年ドラフト3位の投手・梅野雄吾(20)が8月に一軍に昇格してから26試合投げたりと、成長を見せてくれました。この瞬間が、二軍監督の醍醐味だと思います。
球団の将来を担う選手を育てるには、きちんとした育成プランが必要です。そのために、ヤクルトには「強化指定選手」という仕組みがあります。
強化指定選手は一軍や球団のスタッフたちと協議して決めます。指定された選手は、調子が悪くても二軍の試合で使い続けます。「この投手は何日間に1回は登板させないといけない」など、開幕前に球団が育成方針を固めるのです。
僕たち二軍は、どんなに結果が出なくても一軍の方針に従って起用し続けます。
一軍で将来8番を任されるタイプの選手は、二軍でも8番で起用するようにもしています。捕手の古賀優大(20)は、どんなにバッティングの調子が良くても8番から打順を上げません。一軍では間違いなく8番を打つからです。次の打者が投手であることを意識しながら打席に入るように指導しています。
最も優先されるのは、一軍が何を望んでいるのか。二軍に調整にきた一軍の先発投手を、3週間後に一軍で投げさせたいというのであれば、逆算して二軍の試合で優先的に投げさせることもあります。
一軍から「いま状態がいい左投手はいるか?」と問い合わせがあったら、僕たちから推薦する。一軍とのやり取りは、毎日密に行なっています。
“親会社”の経営方針や要求を的確に把握し、それに合った材料(人材)を整えて、送り出す。二軍監督は、下請け会社の社長みたいなものでしょうか。
◆「失敗の翌日」が大事