「セクシャル(性的に惹かれる)」に、否定を意味する「ア」がついて、「アセクシャル」となる。

 ゲイ・バイ男性の人生を応援する団体「すこたんソーシャルサービス」の一員で、大学院時代からアセクシャルについての研究を行う三宅大二郎さんは、アセクシャルの定義をこう語る。

「私たちは、アセクシャルのことを“恋愛的な感情の有無にかかわらず、他人に性的に惹かれない人”の総称としています。日本でも、ある広告代理店が調査を行ったという報告がありますが、まだ定着している概念ではないので曖昧な部分が大きいんです」

 性的に惹かれない──すぐに理解できない人も少なくないと思うが、中村さんはこの言葉に出合って“大きな希望”を手に入れたという。

「こういう人たちもいるんだ、という喜びの衝撃がパッと広がりました。あのタイミングでこの『アセクシャル』という言葉と出合って本当によかった」(中村さん)

 自分のセクシャリティーがわからず苦しみ、さらに周囲から「なんで恋愛しないの?」「なんでセックスしたくないの?」と聞かれても、うまく説明できずに悩んでいる人が、“自分はアセクシャルなんだ”と思うことで、楽になれると中村さんは言う。

「定義に当てはまるかどうかより、自分がアセクシャルかもしれないとわかって、気持ちが楽になるかどうかを優先してほしいです」(中村さん)

※女性セブン2019年2月14日号

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