芸能

米国でもブームのこんまり 片づけ番組の何が面白いのか

番組でのこんまりはタモリ的存在だった(イラスト/ヨシムラヒロム)

 数年前、日本で片づけブームの一翼をになっていた近藤麻理恵こと、こんまりが、リアリティ番組『KonMari~人生がときめく片づけの魔法』(Netflix)によってアメリカで大ブームとなっている。イラストレーターでコラムニストのヨシムラヒロム氏が、一般家庭を訪れて片づけを伝授するだけの番組が、なぜ面白いリアリティ番組となったのかについて考えた。

 * * *
 ご存知の通り、“片づけコンサルタント”近藤麻理恵が大人気だ。ネットを開けば、どこもかしこも“こんまり”の記事。Netflixオリジナルコンテンツ『KonMari~人生がときめく片づけの魔法~』から発端した“こんまり”ブームの勢いは凄まじく。

 そして今、ブームに便乗したい!とこの文章を書いている。ただ、読む前に皆様に伝えたいことが一点。僕は“こんまり”についてそんな詳しくない。

 番組を観る前に持っていた知識といえば、“こんまり”が2010年に上梓した『人生がときめく片づけの魔法』でベストセラー作家となったことぐらいか。“こんまり”の本を扱うサンマーク出版は、山手線の車内に広告を出すことが有名で。当時、紙面に踊る「50万部突破」の文字面を見て「売れてるんだぁ、いいなぁ~」と感想を抱いた。

 その後、“こんまり”はテレビの情報番組でも活躍したらしい。wikiによれば、仲間由紀恵主演で『人生がときめく片づけの魔法』はドラマ化も。もちろん、そんなことはついさっきまで知らなかったわけだが。

 個人的にメディアに登場する片づけの達人が苦手だ。自身がプロデュースした〇〇棒なるアイテムを使い、部屋の隅を擦る。「こんなものいらないじゃない!」とモノを処分していく。プラスチックの箱にダンボールで仕切りを作り、小物を収める。最後、確かにキレイにはなった部屋で「やたったね!」とドヤ顔。テレビの映し方もあるが独善的な姿が気に食わない、細かいことにこだわる態度もセコい。見てて、なんだかナーバスな気分になる。

 こんな人間が『KonMari~人生がときめく片づけの魔法~』と対峙したのが先日。最初に感想を書きたい。“こんまり”は違う、他の達人とは別種だった。“片づけ”、ジャンルだけを見れば同じだが、やることが根本的に異なっていた。

 Rockには括られるけど、ビートルズとKANA-BOONが奏でる音に差があるように。ボールの形は似ているけど、異なる競技性を持つアメリカンフットボールとラグビーみたいに

『KonMari~人生がときめく片づけの魔法~』の舞台はアメリカ。シチュエーションは変ったものの、流れは今までの片づけ番組と同じ。片づけに悩む人の家に訪問、片づけを伝授、無事解決。同じだからこそ映えるのが“こんまり”のメソッドだ。

 なんでも最初が肝心である。番組冒頭、車で相談者の家を訪れる“こんまり”。最初にすることは「あいさつ&あいさつ」だ。一度目は相談者に「ハロー」とあいさつ。続けて、リビング、台所、クローゼット、寝室などを周り、悩みをヒアリング。いよいよ片づけスタートという段階で二度目のあいさつ。

 誰に?

 家に。

「家にあいさつしていいですか」と言い、フローリングに正座。靴で生活するアメリカ人にとって奇妙に映る行為。「私が家にあいさつをしている間、理想の家をイメージしてください」とささやき、瞳を閉じる。黒いロングヘアーと相まって、その姿はまるで巫女。相談者を含めた家自体、“こんまり”の世界観に染めていく。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ロシアのプーチン大統領と面会した安倍昭恵夫人(時事通信/EPA=時事)
プーチンと面会で話題の安倍昭恵夫人 トー横キッズから「小池百合子」に間違われていた!
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問される佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
《ブラジルへ公式訪問》佳子さま、ギリシャ訪問でもお召しになったコーラルピンクのスーツで出発 “お気に入り”はすっきり見せるフェミニンな一着
NEWSポストセブン
「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン