国内

バカッター投稿者 承認欲求の「呪縛」から逃れられない実態

「不適切動画」の投稿はもはや悪ふざけでは済まない

 くら寿司(回転寿司)、すき家(牛丼店)、セブン-イレブン、ファミリーマート(コンビニ)、ビッグエコー(カラオケ店)と大手チェーンが相次いで謝罪に追い込まれたアルバイト店員による「不適切動画」のSNS投稿。企業側も法的措置を検討するなど、もはや悪ふざけの代償は小さくない。同志社大学政策学部教授の太田肇氏が、不適切動画を投稿する若者たちの実像に迫る。

 * * *
 牛丼店のアルバイト店員が氷を床に投げつけ、調理用のお玉を股間に当てる。コンビニの店員は商品のおでんを箸で食べながらはしゃぎ、別の店では舐めた商品をレジ袋に入れる。回転寿司チェーンでは、わざとゴミ箱に捨てた魚をまな板に戻す。JRの線路に立ち入った少年が線路上でダンスを踊る……。

 ふざけた動画を自らインターネットにアップし、炎上させる行為が止まらない。いや、それどころか報道が火に油を注ぐような形で加速しつつある。

 投稿者は仕事をクビになり、多額の損害賠償を請求されたり、刑事告訴されたりするケースも出ている。そうなれば、ネット上で名前や身分をさらされ、社会的に大きな痛手を負う可能性もある。それだけの代償を払うのがわかっていながら、なぜ不適切動画の投稿が後を絶たないのか?

 ネットの世界で繰り返されるこうした動画や写真の投稿は、人間の「承認欲求」がなせる業だといわれている。おかげで承認欲求はちょっとした流行語にもなった。たしかに、“バカッター”と呼ばれる彼らの行動が、屈折した承認欲求からきていることは否定できないだろう。

 しかし、彼らが「目立ちたい」「注目されたい」という承認欲求が異常に強い、特殊な人物かというと、必ずしもそうではない。問題を起こした張本人や彼らを知る人たちの口からは、想像するイメージからはちょっと違う人物像と、意外な心理状態がしばしば見えてくる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン